「仕事が終わらないと言う人」に欠けている視点 人生をより充実させる「スケジューリング」の技

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アリストテレスによれば、「善い人生には、その行為そのものから生まれる満足感以外に何の利益ももたらさないような行動が必要である」そうです。目的なんてなくてもいいのです。確かに、ちょっとでいいので「やってみたい」と思ったことを行動に移していかないと、人生の幅がどんどん狭くなってしまいますよね。

ほかに、「プライベート時間」に「手仕事」をすすめる専門家もいます。

ランドルフ・メイコン大学心理学部長のケリー・ランバート氏は、その著書『うつは手仕事で治る!』(木村博江訳・飛鳥新社刊)の中で、「人は体をつかって努力し、目的を達成すると大きな喜びを感じる。畑仕事や手仕事から解放され、スイッチ1つですむ生活になってから、うつになる人が増大した」と述べています。

手仕事には、農作業や木工、ペインティング、編み物などはもちろん、コーヒー豆を自分で焙煎したり、パンを焼くなどの料理をすることも含まれます。手を使って集中する作業というのは、PCの前に座って何かをしているときとはまったく違う脳の使い方をしていると感じて、とても気分がよくなります。

出来上がった実体のあるものを、見たり食べたり使ったりできることも、充実感をもたらす理由の1つでしょう。せっかくの「プライベート時間」をうまく使えていないと感じる人は、ぜひ試してみてください。

手仕事は「1人で行う」のが鉄則

ただし、絶対に守ってほしいのが「1人で行うこと」。写真や感想をSNSに投稿するのも禁止です。他人からの評価を求めるのではなく、自分だけの満足感を大切にしましょう。

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「プライベート時間」があるのが当たり前の毎日になると、「あ、あれをやってみよう!」とか「この本読みたかったんだ!」というように、どんどん「小さなやりたかった」を思い出せるようになります。

すると、時間に追われる毎日から、やりたいことを追いかける毎日に変わっていくのです。ぜひ日々のToDoリストとは別に「やりたいことリスト」をつくってみてください。誰にも見せないので、どんなに些細なことでも、ちょっと恥ずかしいことでも大丈夫です。

すると、ふとしたときにリストを見るだけで、または新しいことをリストに書きこむだけでも、「プライベート時間」が楽しみになり、週末が待ち遠しくなり、毎日が充実していきます。

池田 貴将 オープンプラットフォーム代表取締役

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いけだ たかまさ / Takamasa Ikeda

リーダーシップ・行動心理学の研究者。早稲田大学卒。在学中に渡米し、世界No.1コーチと呼ばれるアンソニー・ロビンズ本人から直接指導を受け、そのノウハウを日本のビジネスシーンで活用しやすいものにアレンジ。感情と行動を生み出す心理学と、人間力を高める東洋哲学を統合した独自のメソッドが注目を浴びる。開催するセミナーはコンサルタントやビジネス作家などのプロも受講。著書に『覚悟の磨き方 超訳 吉田松陰』『動きたくて眠れなくなる。』(サンクチュアリ出版)、『未来記憶』『心配するな。』(サンマーク出版)、『がんばらないほうが成功できる』(PHP研究所)などがある。

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