東芝vsモノ言う株主、再び激突する深刻事情 アクティビスト側の助言役に大物弁護士も

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前回総会でエフィッシモ側の法務アドバイザーを引き受けたのが、弁護士の國廣正氏だ。旧山一証券の社内調査委員会で経営責任を追及するなど、ガバナンス問題で日本を代表する第一人者だ。

そんな大物弁護士が、「ハゲタカファンド」と揶揄されたことがあるエフィッシモ側についたことは異例なことだった。今回はアドバイザー契約を結んでいないが、エフィッシモ側に助言をしているようだ。

議決権行使結果の集計に疑問符

國廣氏は2月の東洋経済の取材に対し、「エフィッシモとは個別に1時間程度のミーティングを3回程度やってアドバイスもした」と明かす。そのうえで、「東芝の2020年7月の株主総会はいろいろと問題があるのは明らかだ。独立した外部の第三者委員会でしっかり調査すべきだ。なぜそうしたことができないのか」と疑問を呈する。

エフィッシモ側に助言する國廣正弁護士(写真は2020年6月、撮影:尾形文繁)

國廣氏が問題があるとするのが、2020年7月の定時株主総会の議決権行使の結果だ。

集計作業した三井住友信託銀行が事前に郵送された1000通以上の議決権行使書を無効扱いにしていた。東芝は2020年12月に無効票を含めて議決権行使を再集計した結果、車谷社長の賛成比率を57.96%から57.20%に、反対比率を18.96%から20.13%にそれぞれ訂正した。

この問題をめぐっては、みずほ信託銀行も含めた2行合計で1300社以上の上場企業で同様の不適切処理が判明するなど、もはや東芝だけの問題とは言えない。だが、「東芝(の議決権行使に)はこれ(信託銀行による議決権行使の集計)だけでは説明がつかない、不自然な点が数多く存在する」と國廣氏は指摘する。

またエフィッシモは、「議決権行使をめぐり、株主への不当な圧力があった」とも指摘。一部の株主が圧力を受けて議決権を行使しなかったと報じられたほか、自らも実際に圧力を受けた株主がいることを確認しているという。

ロイター通信などによると、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のCIO(最高投資責任者)を務めた後、経済産業省の参与に就任している水野弘道氏が2020年7月の株主総会の1週間前、東芝の株主であるハーバード・マネジメントに対し、「会社提案にノーといえば、(外為法上の)インベスティゲーション(調査)が入りますよ」と連絡。会社側の意にそぐわない形で議決権を行使した場合、改正外為法に基づく調査の対象になる可能性があると干渉していた。

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