東芝vsモノ言う株主、再び激突する深刻事情 アクティビスト側の助言役に大物弁護士も

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エフィッシモは2020年9月以降、「株主にとって最も基本的な権利が否定されていることにほかならない」「到底許容することはできない」と東芝側に訴え、独立した第三者委員会による原因究明や再発防止策を求めていた。

しかし、これに東芝は応じなかったため、「議決権行使の不透明な実態を明らかにする必要がある」(國廣氏)として臨時株主総会の招集を求めたわけだ。

エフィッシモの指摘に東芝は反論している。議決権集計問題については、三井住友信託銀行に調査を要請し、すでに調査結果の報告を受けていると主張。エフィッシモはさらなる調査を要求しているが、東芝に限った問題ではないと反論したうえで、エフィッシモからは具体的な事実関係も示されていないとしている。

東芝の資本政策にも異議

水野氏の件についても、具体的な内容やその根拠の開示をエフィッシモに要請したが、明らかにしてもらえなかったという。東芝は弁護士事務所を起用して調査した結果、水野氏による不当な干渉に東芝が関与したと認める資料も情報もなかったという。さらに、ハーバードから不当な圧力の有無について具体的な情報提供もなかったと説明している。

一方、別の大株主であるファラロンは、エフィッシモとは違う視点で東芝の姿勢に疑問を呈している。ファラロンは東芝の中期経営計画「東芝Nextプラン」の成長戦略が大きく変更されたと主張。中計の具体的な資本政策については総会決議事項にすべきだと訴えている。

東芝は2020年11月に中期経営計画「東芝Nextプラン」を改定し、2022年3月期以降の5年間で、累計の営業キャッシュフローが約1.3兆円となると説明。これに資産売却や負債による資金調達を積み上げ、それらの合計資金を配当や設備投資(約7000億円)、戦略投資(M&Aや自己株式取得など)に投じる旨を説明した。

だが、東芝が当初、「自立的な成長と小規模M&Aにより成長を目指す」としていたのに、1兆円規模の資金をM&Aなどの大型投資に振り向けるよう、戦略を変更したと指摘。方針を変更するなら、株主総会で株主の意思を確認する必要があると指摘する。

具体的には、定款で資本政策は株主総会で承認が必要と明記するとともに、それが総会で否決された場合などは、5年間の営業キャッシュフローの全額を株主還元する旨を載せるように訴えている。

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