英国名車を1カ月で手放した男、その残念な理由 デイムラー ダブルシックスのほろ苦い思い出
新しいダブルシックスをわが家に迎えるまでは約6カ月。長い待ち時間だったが、楽しい待ち時間でもあった。
でも……その6カ月の間に、まったく予期していなかったことが起こった。引っ越しだ。
当時、わが家は賃貸のマンション住まいだった。富士山が正面に見える高台にあり、とても気に入っていたし、引っ越すなど考えたこともなかった。1階を駐車場にした4階建て。一戸が広く、モダンで建築のクオリティーも高い、快適なマンションだった。
マンションのオーナーは、素敵な版画をさりげなく駐車場に飾る……そんな方であり、会うといつも話が弾んだ。
駐車場は1戸に1台が決まり。貸し駐車場も遠かった。そんなことで、熱心に(強引に?)交渉した結果、オーナーが折れて「2台確保」に成功。してやったりだ。
とても快適なわが家に出会えた。僕はもともと、持ち家派ではなく賃貸派。そんなこともあって、当分はここで暮らす……いや「ここに住み続けてもいい」とさえ思っていた。ダブルシックスをオーダーしたときも、そのマンションに住むことが前提。僕はそんなことがけっこう気になる質で、マンションとダブルシックスの調和は気に入っていた。
「岡崎さんにピッタリの物件が出ました」
ところが……ダブルシックスを待つ間にまったく予期しない事態が起こった。マンションを介在した不動産屋が、「岡崎さんにピッタリの物件が出ました」と言ってきたのだ。
僕は常々、「クルマがたくさん置ける家がほしい」と言っていたが、「その希望にピッタリ合った物件」だということ。
聞くと「4台置けます」と……。とはいっても4台分の駐車場があるわけではない。真っ当な駐車場は2台分。1台分は増設可で、玄関先の小さな庭を潰せばもう1台の計4台。私道の奥だから、自分のクルマの前を塞ぐ形ならさらに1台駐められる。