歩くと気づく「田園調布」に空き家が増える事情 渋沢栄一の街づくりに欠けていた視点とは

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2005年に変更された最新の田園調布地区地区計画によると建築物の敷地面積の最低限度は165㎡(50坪)で、95坪の土地を相続する場合、基本的には2分割はできないことになる。建築物等の高さの最高限度は9mとなっており、一般的な第一種低層住居専用地域で10mが多いことを考えると厳しめ。

さらに住宅地では4戸を超える長屋、共同住宅は建てられないなど建築物の用途にも制限がある。そのため、敷地を半分売って相続税に充てる、敷地内にアパートを建設、借入分で相続税の対象となる資産を減らし、かつ収益を相続税対策に使うなどの、よくある手が使えないのである。

「相続税に対するリテラシーが低い」

だが、そうした制限は昨日今日で生まれたものではない。当初から田園調布にはこうしたルールがあった。それにきちんと対処してこなかったのが現在の衰退につながっていると指摘するのはメガバンクの支店長を経て2014年の著書『お金が貯まるのは、どっち!?』で一躍知られるようになったお金の専門家・菅井敏之氏である。

同氏は2012年から8年間、田園調布の商店街でカフェを経営し、多くの人の相続も含めた資産の相談に乗ってきた。そこでわかったことがあるという。田園調布には経営者のほか、スポーツ選手や文化人、政治家などが多数住んでいるが、彼らは本業には才能があるものの、相続に関するリテラシーは低く、さらにそれをアドバイス、サポートする人がいない。

「こうした人の多くはプライベートカンパニーを設立、税理士も銀行もついており、節税には熱心ですが、税理士で能動的に相続対策を進言する人は1割もいないでしょう。銀行も会社のある都心部に口座があることが多く、大企業の顧客が多い都心支店では個人会社は零細な取引先。個人の状況を推察することはありません」と菅井氏。

菅井氏(写真:筆者撮影)

「地元の支店が相続絡みで提案をしたくてもハードルが高く、かつ金融機関はこうした場合の問題解決の手となる不動産の活用については知識がありません。そこで何の対策もしないままに相続を迎え、税金が払えないと家を手放すことになるのです」

親の死が絶対に避けられないものであると同様、財産があれば相続は必ず発生する。田園調布に住んでいるなら、相続税が多額に及ぶことはわかっているはず。親が高齢になってから慌てるのではなく、元気なうちから備えておくべきだというのだ。

手はいろいろあるが、菅井氏はまず2つの点を意識すべきだという。1つは家計を収入と支出のバランスからだけでなく、資産も含め、BS(貸借対照表)で見るということ。もう1つは企業の経営同様、親と子の資産を連結して考えるということである。

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