定年夫婦が「共通の趣味」など持つ必要がない訳 新婚の頃のように「一緒に楽しむ」のは至難

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例えば読書1つとっても、夫婦で好みのジャンルが違ったりする。定年後いきなり同じ趣味を始めると、楽しいだろうか(写真:Ushico/PIXTA)

会社で50代ぐらいの人向けに開催される「ライフプランセミナー」、その席でよく講師の人から言われることがあります。

「定年後は夫婦で楽しめる共通の趣味を持ちなさい」

これは、男性向けの定年対策本に書いてある定番のアドバイスでもあります。私は、必ずしもそうは思いません。共通の趣味はあってもなくてもどちらでもいいのです。もう少し丁寧に表現すると、「共通の趣味は、あればそれにこしたことはないけど、なくても別にかまわない」ということです。

音楽好きでも、クラシック派の妻とヘビメタ派の夫

そもそも趣味というのはそれほど単純なものではありません。音楽が趣味といってもジャンルが違うこともあるでしょう。妻はクラシックやオペラが好きなのに夫はガチガチのヘビーメタルだとしたら、これはまったく合いません。

アウトドア派であったとしても、夫は山歩きが好き、妻はオートキャンプが好きというのでは、これもバラバラです。釣りだって、海釣り、渓流釣り、池でのヘラブナ釣りなど、好みはさまざま。そんな中でぴったり同じジャンルに好みが一致するというのであれば、2人で一緒にやっても楽しいでしょうが、そうでなければ、あまり面白くはないでしょう。

多少好みが違っても、一緒にいること自体が楽しい恋愛時代や新婚の頃ならともかく、長年生活を共にしてきた夫婦が、定年になったからといってべったり同じ趣味を目指すというのは、何か不自然な気がします。人間、誰でも自分の興味のないことに付き合うのは疲れます。

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