アメリカを待ち受ける「2月9日弾劾ショック」 「普通の子」バイデン大統領を待ち受ける茨の道

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多くの人が見守る中で、彼女が読み上げた詩の中身はと言えば……いや、これはもう実物をご覧いただくのがよろしかろう。すでに日本語字幕付きでユーチューブに載っている 。ご列席のセレブたちまでもが、彼女に圧倒されている様子がよく伝わってくる。

アマンダ・ゴーマンは「オバマの再来」

筆者もまた、しびれてしまった。正直言って、午前1時半に目覚ましをかけて見始めたせいもあって、バイデン新大統領が何を言ったかなどはほとんど印象に残っていない。それでも彼女のパフォーマンスには度肝を抜かれた。

「これはオバマの再来だ!」と思いましたな。バラク・オバマ上院議員が雄弁を武器に、あれよあれよという間に選挙戦を勝ち抜き、大統領に就任したのは今から12年前のこと。そのときこのアマンダ・ゴーマン嬢は、10歳だったことになる。

世界が金融危機に沈んでいた当時、「アメリカの物語」を高らかに歌い上げたオバマ氏が、ついにはアメリカ初の黒人大統領になったことを、彼女は人生の一大事件として受け止めたのだろう。だから『私たちが登る丘』の中にこんなフレーズが挟み込まれている。

We, the successors of a country and a time where a skinny black girl descended from slaves and raised by a single mother can dream of becoming president only to find herself reciting for one.

(われわれはこの国の継承者だ。そこでは奴隷の子孫たる痩せた黒人で、シングルマザーに育てられた少女が、いつか大統領になることを夢見ることができる。今はその前で詩を読む立場だけれども)

変な話だが、この場にいるオバマ前大統領は、きっと彼女の光り輝くような才能に嫉妬しているだろうな、と感じた。それでも2008年にオバマが語った「アメリカの物語」は、いったんは途切れていたけれども、この2020年に後継者を得て復活したと言えるのではないだろうか。

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