
――教科書の学習に関しては、時間の圧縮により質が落ちることを懸念する先生もいそうです。
確かに反発する先生もいると思いますが、僕はむしろ子どものためになる授業ができると考えています。例えば国語では、かつて長い時間をかけて1つの物語文の指導に取り組んでいましたが、今は数時間にとどめています。『ごんぎつね』であれば5時間で教えます。なぜなら子どもたちに伝えるべきことや気づいてほしい点は明確だから。一方で時間を圧縮した分、残り十数時間はほかの学びに費やします。いわば授業内容の「選択と集中」です。
例えば、『ごんぎつね』なら作者の新美南吉さんのほかの作品をたくさん紹介する、あるいは調べさせる。そして、実際に複数の作品を読んでもらい、「動物の本が多いね。新美さんのメッセージで共通する点があるかもしれないね」と考えさせることに時間をかける。こうした授業のほうが、子どもたちの人生の幅が広がるのではないかと思います。
近年、文部科学省は読書活動を推進していて、新学習指導要領においても教材の留意点として「読書に親しむ態度の育成を通して読書習慣を形成すること」を狙いにすることなどを挙げていますし、新時代の教育という観点からもマッチしているのではないでしょうか。
こうした教育改革の流れや、すべての教員が教材研究に命を懸けられるわけではない時代性を踏まえると、1コマの細分化による「準備時間のスマート化」も1つのやり方として有効なのではないかと思っています。
1:即時評価を活用した丸つけやノート確認で、時短しながら子どものやる気もアップ!
2:短時間の学習の組み合わせで、準備の効率化と子どもが飽きない授業を両立!
(文:編集チーム 佐藤ちひろ、イラスト・写真提供:田中光夫氏)

制作:東洋経済education × ICT編集チーム
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