時短で儲かる店も出現「1日6万円」協力金の是非 足並みをそろえない飲食店経営者たちの本音

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新宿を中心に飲食店を複数経営する企業の方に話を聞いた。同社が経営するのは居酒屋や和食屋、ビストロなど。中~大規模の店舗が多く、客席は最大120席で、賃料は最大300万円。コロナ禍での売り上げは、店舗により30~80%減少しているという。今回の時短営業には応じているが、当然1日6万円では足しにもならない。

「うちは飲食以外の事業もしているので、何とか持ちこたえられていますが、飲食だけだったら立ち行かなかったでしょうね」

店舗の業態や規模にかかわらず、協力金が一律であることについてはどう思っているか。同氏は「どんな施策を取ったとしても、必ず不公平は発生する」と前置きしたうえでこう続ける。

「すべての飲食事業者が生き残るような施策で、不公平が発生するなら、平時ではない今なら仕方ありません。もらいすぎたという事業者からは、コロナが収束した後に返納してもらうなどすればいいのですから。けれど今回の施策では、廃業せざるをえない事業者もきっと出る。国にはすべての事業者が、せめてコロナ禍を何とか乗り越えられる施策を考えてほしいです」

例えば協力金を一律6万円ではなく、店舗の坪数×エリアの賃貸物件の平均坪単価で支給すれば、家賃に充当できるため、ほとんどの飲食事業者が存続できるのでは、と同氏は話す。そのうえで今回の施策を、「税金で給料をもらっている人たちが考えた、何の意味ももたらさない不公平な施策」と切り捨てた。

「コロナバブルが来ましたね!」

約40年営業している小さなバーにも話を聞いた。同店は客層が高齢化したこともあり、コロナ以前から客数は減っていた。売り上げも月30万円程度だという。

店主は「1日6万円をもらえて、本当のことを言うとありがたいです。けれど、そんなことを言うと怒られる。世の中に対しては、『コロナで困っています』って言わないといけない空気です」と複雑そうだった。

また、同様の立場の若い飲食店オーナーは、「コロナバブルが来ましたね! このままコロナが続いてほしい」と喜びを隠さなかった。

飲食業の取引業者である、酒屋さんに話を聞いた。数名のスタッフを抱えている、中規模のお店だ。

「時短要請を受けて、休業したお客さん(飲食店)がたくさんいます。するとうちへの注文も当然なくなる。売り上げは前年同月比で80%減る見込みです。人件費を削るために閉店時間を早めて、後は持続化給付金で何とか乗り切っています」

政府は1月12日、飲食店の取引先の支援として、一時金(最大40万円)の支給を発表した。だが「40万円をもらえたとして、ありがたいけれど、一時しのぎにしかなりません」と本音を漏らした。

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