「CX-30」発売1年、堅調に売れた人気SUVの通信簿 マツダの販売を支えた1台、次の一手は電動化?
年が明けてもマツダの稼ぎ頭として、「マツダ2」とともにコロナ禍での前期の販売を支えた。発売から1年が経った9月には、マツダ2に次いでCX-30であり、直近はこれにCX-5が盛り返してきた様子もあり、総括すれば、CX-30はマツダを支える車種としてしっかり地に足を着けたクロスオーバーSUVになったといえるだろう。一方、先に登場したCX-3は40位台に顔を出す程度にとどまっている。
CX-3は、外観の造形がとてもお洒落だ。背のあるSUVでありながら、格好いいと感じる姿であり、他車との違いも明快だ。しかし、マツダが初代CX-5で成功を収めたディーゼルターボエンジンのみでの市場導入となり、販売台数は期待より伸びなかったようだ。2年後にはガソリンエンジン車も追加発売されたが、前年にトヨタC-HRが発売となり、もはや影は薄くなった。その影響が今日まで残り、CX-30も発売になったので、CX-3の存在感は希薄なままとなっている。
CX-3販売低迷の要因はディーゼルターボ
マツダは、ディーゼルターボエンジンをCX-3に搭載するに際し、ディーゼルエンジン特有の振動・騒音を軽減する独創の技術「ナチュラル・サウンド・スムーザー」を採り入れた。だが、車外ではディーゼル音が耳に届く。いくら技術が優れていても、ディーゼルエンジンが嫌いな人は絶対に買わないだろう。CX-5は車体が大きく重いので、ハイブリッド車を持たないマツダの顧客には、ディーゼルが選択肢となったかもしれない。しかし、CX-3はより小型であり、ガソリンエンジン車を当初から揃えていれば、外観の造形や車体寸法的に食指の動いた消費者が少なくなかったのではないか。
技術にこだわる姿勢は、60年代にロータリーエンジンの量産化を果たしたマツダの伝統ともいえる個性であり、社風として批評されることではないかもしれない。だが、技術研究が社業ではなく、消費者に喜ばれるクルマを販売することが事業であるとしたら、手駒があるなら、選択の幅を狭める必要はないのではないか。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら