シリコンシャンプー「毛穴に詰まる」説の無根拠 たとえ洗い残しがあっても体に害は及ぼさない

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もちろん、汗をかきやすい環境で働いているか、毎日デスクワークかなど、ライフスタイルによりますから一概にはいえませんが、洗いすぎるより洗わないほうが、髪にも地肌にも負担がありません。

最初はちょっとつらいかもしれませんが、洗う回数を少しずつ減らして本来のサイクルをとり戻すと、髪も肌も自発的に美しさを保てるようになります。

炭酸泉のヘア洗浄効果は未知数

高濃度の炭酸ガスを溶け込ませた炭酸泉を使って頭を洗浄する「炭酸泉のヘア洗浄」は、毛穴や髪の毛にこびりついた汚れを落としてくれるという、自然派ヘアケアのひとつです。

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皮脂や古い角質や老廃物、シリコーンやよけいな油分など、シャンプーでは落としきれない汚れも、炭酸の細かな泡の力により髪や頭皮から剥がれ落ちる、というのがそのうたい文句です。

もともと炭酸泉は、血流をよくするという点では温泉よりも効果的ですから、頭がスッキリするのはたしかでしょう。

たとえば形成外科では、脚に傷がある患者さんの治療にあたる場合、まず血行をよくするために炭酸泉を使うことがあります。ただ、洗浄効果については、まだエビデンスがありません。

とくに、油分を落とすことを考えると、通常は界面活性剤のような乳化作用が必要ですから、それなしで汚れが落ちるという炭酸泉の効力は、いまのところ未知数です。

また、汚れに関しては、そんなにがんばって落とす必要はないというのがわたしの考え。人の皮膚にはそもそも、汚れたら自然に剥がれ落ちてキレイになる力が備わっているからです。

とはいえ、血行がよくなってとても気持ちがよいということであれば、炭酸泉のヘアケアを受けることには問題はありませんが、地肌を傷つけない程度に、やりすぎないように気をつけましょう。

落合 博子 国立病院機構東京医療センター形成外科長

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おちあい ひろこ / Ochiai Hiroko

日本形成外科学会専門医、皮膚腫瘍外科専門医、日本創傷外科学会専門医、日本抗加齢医学専門医
1991年に医師免許を取得。2016年に日本抗加齢医学会専門医
現在、独立行政法人国立病院機構 東京医療センターにて形成外科医長を務める。著作に『美容常識の9割はウソ』(PHP研究所)がある。

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