大井川「合格駅」、JRが見習うべき地域連携の姿 地元住民の熱い運動に、鉄道会社が応えた

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駅からすぐ近く、大井川を望む牛尾山の台地上に反射鏡施設を設置、米国の爆撃機B29を撃ち落とす「電磁波」兵器を試作していた。

合格駅にある湯川石と朝永石(筆者撮影)
合格駅にある合格石(鉄丸石)(筆者撮影)

5年ほど前、大井川右岸の拡幅工事で牛尾山実験所跡地を取り壊す際、当時の実験所跡の礎石欠片を「歴史の証人」として合格駅に運び、「湯川石」と「朝永石」と名付けた。2つの石に手をかざすと、ノーベル賞パワーを感じることができるのだという。

その隣には、「開運合格石」も並べられている。約2000万年前の深海の泥岩層が起源という7.5kgと4.9kgのずっしりと重い鉄丸石(硫化鉄が濃集して固まったもの)である。これほど大きな鉄丸石は全国的にも珍しく、同チームがご利益を信じて、「合格石」と名づけた。やはり大井川拡幅工事で、牛尾山周辺から発見された。盆などに飾る観賞用の水石としても1級品だから、もし「合格石」を磨けば、その価値は計り知れないとのことだ。

新駅「門出」も誕生

そんな五和地域の人たちの取り組みに、大井川鉄道も黙っていられなくなった。2015年から、合格駅にちなんだ「SL合格祈願号」を運行することにした。「合格」にちなんだ五角のヘッドマーク、中央には「サクラサク」の願いを込めた桜の花のデザインが特徴。受験シーズンの始まる1月から3月にかけて運行するとともに、合格祈願グッズとして祈祷を受けた護摩木や「すべらない砂」の販売も始めた。

大井川鉄道の鈴木肇社長ら社員総出で、この護摩木、すべらない砂を金谷地区のある大井川右岸の3年生全員に贈呈している。「高校受験を無事乗り切るようがんばってください、さらに将来、大井川流域を支える人材に育ってほしいという願いを込めています」と鈴木社長は話す。

そして11月12日、五和駅は正式に「合格駅」と改称した。「合格祈願周遊きっぷ(大人500円)」や「合格祈願お守り(800円)」なども発売、合格祈願の駅として大々的に売り出した。これから受験シーズンが始まるだけに、注目度は非常に高い。

さらに同日、合格駅と隣の神尾駅の間に、「門出駅」が新設された。合格駅からはわずか2分の距離である。新駅設置は、JAおおいがわによる大井川流域の緑茶・農業・観光の魅力を集めた体験型フードパーク「KADODEOOIGAWA(カドデオオイガワ)」の開業に合わせた。

駅舎内にSLを飾った門出駅誕生とともに、ローカル鉄道の生き残りには、地域の人たちの熱い支援が必要であり、大井川鉄道はその声にこたえている。

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