苦難の鉄鋼メーカー、資源メジャーの大幅値上げに抗えず
しかし、中国ではすでに四半期契約が主流となっている。きっかけは鉄鋼各社の契約不履行だった。08年後半に鉄鉱石のスポット価格が暴落した際、中国の鉄鋼メーカーの多くが年度契約を破棄し、スポット買いに走った。
資源メジャーはこうしたリスクを今後避けようと、四半期契約に移行させた。「中国企業は日本の5倍の鉄鋼生産量。同じ条件を迫られるのは仕方ない」(鉄鋼商社幹部)。
今年後半には、BHPと英豪系リオ・ティントの鉄鉱石事業が統合される見通し。資源メジャーの寡占化に加え、四半期契約が本格化すれば、鉄鋼原料の値上げ圧力がいっそう高まりかねない。
国内鉄鋼各社は原料の安定調達に向け、自社権益確保に動いている。新日鉄やJFEスチールは08年、ブラジルの鉱山会社ナミザに3000億円強を共同出資。JFEスチールは昨年末にも500億円を投じ、豪バイヤウェン炭鉱の権益を一部取得した。
だが、新日鉄の自社権益分が目標に達するのは13年以降。JFEスチールは豪州の権益取得を加えても自社権益分が15%程度で、「将来的に25~30%」(林田英治次期社長)という目標到達には時間を要する。目先のコスト高の解決策にはなりそうにない。
1兆円超す負担増
今後の注目は、川上の原料値上げを、川下の価格交渉にどう反映させるかだ。
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