ソフトバンクが挑む"鉄腕アトム"の量産化 フォックスコンと組んでPC並みの価格で販売

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ソフトバンクが来年2月に発売するペッパー(中央)。白戸家に仲間入りする日も近い?

「みなさん初めまして。pepper(ペッパー)と申します。孫社長、これでいいですか?」――。この日、ソフトバンクの発表会の口火を切ったのは孫正義社長ではなく、白いボディの人型ロボットだった。

ソフトバンクは6月5日、ロボット事業に参入することを発表した。第1弾として登場した人型ロボット「ペッパー」は、最新の音声認識技術や人の感情を推定する感情認識機能を搭載するなど、コミュニケーションに特化したロボットだ。

身長は121センチメートルで、重量は28キログラム。稼働時間は12時間以上。移動速度は最大時速3キロメートル。1.5センチメートルの段差まで乗り換えることができる。発表会では、人などとの距離を測る赤外線センサーや音が鳴った方向がわかるセンサーなどの機能も披露された。

自分の意思で動く世界初のロボット

だが、これらの機能はペッパーを特徴づける要素の、ごく一部にすぎない。ペッパーの最大の特徴は、感情を理解し、自らの意思で動く世界初のロボットという点だ。この日の孫社長とのやり取りはアプリケーションを用いたものだったが、人工知能によるフリートークでも「7~8割程度は会話として成り立つ」(開発スタッフ)という。

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感情があるので、時には落ち込むこともあるようだ

従来のロボットはプログラミングによって行動するが、ペッパーは人の感情を認識し、人の役に立つような機能を持つロボットを目指している。そのために搭載されているのが「感情エンジン」だ。

嬉しい、ありがとう、という気持ちを認識し、その感情を数値化して学習する。それぞれの個体で得られた情報は、プライベートな情報を除いてクラウドベースでほかの個体と共有され、いち早く進化していくという。

孫社長は「小さい頃に鉄腕アトムを見ていた。アトムは涙を流せないが、そんな感情を持てるロボットができたらいいなとずっと思っていた」と、長年の夢だったことを明かした。

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