「新型ノートvsヤリス」徹底的に比較してみた 新しさの「新型ノート」と安心感の「ヤリス」

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日産自動車の星野朝子副社長は、この点を「ゼロエミッションの社会をリードしていく企業としてのビジョン」を実現するためだとする。同社は、2020年5月に発表した事業構造改革「Nissan NEXT」の中で、「2023年度までに年間100万台以上の電動化技術搭載車の販売を目指す」ことや、「日本では、電気自動車2車種とe-POWER搭載車両4車種を追加」するといった目標を掲げている。

今後のビジョンを語る日産自動車 星野朝子副社長(写真:日産自動車)

つまり、新型ノートをe-POWERオンリーにしたのは、そういった同社が目指す事業戦略の一環なのだ。では、実際の販売現場での反応はどうだろう。日産車を扱う某販売店の担当者はこう語る。

「先代のノートだけでなく、セレナにもガソリン車とe-POWERの両方が設定されていますが、どちらもe-POWERのほうが多く売れています。(新型がe-POWERのみの設定になっても)あまり大きな影響はないと思います」

さらに、「新型ノートはもっと価格が高くなるだろうと思っていたのですが、発表された価格が意外に抑えられているのには驚きました。恐らく、(メーカー側は)安いという理由でガソリン車を選ばれるお客様も考慮して、価格面でも思い切ったのではないかと思います」とかなり好意的だ。

話を聞いた11月末の時点では、まだディーラーには展示用や試乗用の現車はなかったのだが、それでもすでに新型の予約が数件入っているという。また、それら顧客の中には、先代ノートでガソリン車に乗っていて、「e-POWER車に乗り換えたい」ユーザーも多いのだという。

「新しさ」の日産、「安心感」のトヨタが明確に

以上、新型ノートとヤリスをさまざまな角度や装備で比較してみた。概していえるのは、ヤリスは先進機能も数多く採用する新しいモデルだが、その細部を見てみると、運転操作などに関わる装備などは意外にオーソドックスだ。そして、その点が、初めてこのクルマを運転した人でも違和感なく乗れる、高い「安心感」に繫がっているといえる。

対するノートは、スタイリングから装備まで、全体的に「新しさ」を追求したモデルだ。特に、第2世代のe-POWERを搭載した走りが、どのように進化したのかは気になるところ。見た目の先進性が、実際の走行性能にもうまく反映されていることに期待したい。

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近年、コンパクトカーを購入するユーザー層には、60歳以上が増えているという。そういった世代には、子供が成長するなどで、大人数が乗れる大・中型の車両が不要となり、ミニバンなどからの乗り換え組も多い。夫婦2人がゆったりと乗れて、日本の道路事情でも使い勝手がいい、より小型の車両に「ダウンサイジング」するのだ。

「新しさ」のノートと「安心感」のヤリス。高齢者をはじめ、コンパクトカーの幅広いユーザー層が、各車の性格や味付けも含め、どちらをより多く支持するのか、今後の動向に興味が尽きない。

平塚 直樹 ライター&エディター

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ひらつか なおき / Naoki Hiratsuka

1965年、福岡県生まれ。福岡大学法学部卒業。自動車系出版社3社を渡り歩き、バイク、自動車、バス釣りなどの専門雑誌やウェブメディアの編集者を経てフリーランスに。生粋の文系ながら、近年は自動運転や自動車部品、ITなど、テクノロジー分野の取材・執筆にも挑戦。ほかにも、キャンピングカーや福祉車両など、4輪・2輪の幅広い分野の記事を手掛ける。知らない事も「聞けば分かる」の精神で、一般人目線の「分かりやすい文章」を信条に日々奮闘中。バイクと猫好き。

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