「築地の寺婚」真剣に結婚したい人に盛況な理由 30~40代を引きつける築地本願寺の顧客創造
「築地の寺婚」と名付けた結婚相談所では、申し込みを検討されている方には、まずは担当者との面談で、性格や趣味、お仕事、結婚観、希望する異性の条件やタイプを伺います。またこちらからは、ご成婚までの流れがイメージできるよう、サービス内容をご説明します。サービス内容に納得いただけて寺婚会員にご入会となれば、婚活スタートです。その方の魅力を引き出すプロフィールを婚活のプロ目線でご一緒に作成します。
ご登録者の中で気に入った異性がいれば、お見合いの申し込みをして、婚活カウンセラーが間に入ってお見合いをコーディネートします。また、日本結婚相談所連盟の加盟相談所に所属する会員だけに参加資格を限定した、会員限定のお見合いパーティーも開催する予定です。
出会いから交際に至れば、交際中も婚活カウンセラーがお相手の担当カウンセラーと連携して、お困りのことや悩みがあれば、いつでも対応します。めでたくご成婚となれば、ご希望に応じて、ブライダルに関する準備やご結婚式もお受けする、という仕組みです。
おそらく、相手探しからご成婚までの仕組みやサービスの内容は、他の結婚相談所と大きくは変わらないかと思います。それでも、お寺に相談し、お寺が相談を受けている会員ならばおかしな人はいないのではないか、という築地本願寺というお寺の信用が「築地の寺婚」の強みになっているようです。
考えてみれば、昔から、お寺はそれぞれの地域、地元での「よろず相談所」であり、結婚の仲介の役割も果たしてきました。築地本願寺では、ご葬儀や法事、合同墓、あるいは終活の相談で、50代、60代やそれ以上の年代の方々のニーズに応えるさまざまな「コンテンツ」がそろっています。結婚相談所「築地の寺婚」は、さらに30代〜40代の若い方々に来ていただくための大きなコンテンツのひとつになると考え、力を入れています。
LGBTカップルの仏前結婚式も大歓迎
浄土真宗の教義は「すべての生きとし生けるものを救う」という幅広いものです。いろいろな生き方がある多様性の時代に、いろいろな悩みに答えていく使命がある。私はそう考えています。
例えばLGBTが許されない宗教はたくさんあり、言われなき差別や偏見も根強くあります。アメリカでは1970年代からLGBTの結婚式が行われるようになりましたが、キリスト教のいくつかの会派やイスラム教では恋愛すら認められていません。
カリフォルニアの浄土真宗本願寺派のお寺では1970年代からLGBTの方々の結婚式が行われています。挙式したカップルはその後も門信徒となってお寺に所属され活動されています。
誰を愛するかはその人の自由であり、愛する人と一緒になるとき、儀式を行いたいと思うのは、特別なことではありません。それが異性間であっても同性間であっても同じことです。
LGBTのカップルから「築地本願寺で結婚式をやりたい」との申し込みがあったとき、私はぜひ引き受けたいと思いました。築地本願寺の本堂での仏前結婚式は人気があり、春秋の結婚シーズンには1日2組の式をお受けする日もあります。
「いいじゃないですか。ライフイベントに寄り添うということで仏前結婚式はもっと増やしていきたいと思っていますし、それがLGBTのお2人であっても教義上、何の問題もないですよね」
という気持ちで私は受けようと思いましたが、伝統的な組織だけに話はそう簡単には進みませんでした。まず、京都の本山に意見を求めたり、教義として本当に問題がないかの議論があったり、「ダメという理由はないけれど、なんとなくやりたくない」といういちばん頑固な思い込みの壁を砕いたり……。宗派内の手続きは慎重にやっていかなければなりませんが、こうしたニーズがあるなら、それに応えていくのが寺の役割だと思います。
2016年10月、第1号のカップルの結婚式(正式には、法律上の結婚ではないので「パートナーシップ仏前奉告式」)は厳かに華やかに行われましたが、今後はもっと増えていくでしょう。
ホテルのコンシェルジュは、レストランの予約から地元のおすすめスポット案内まで、顧客のあらゆる要望に応えるプロフェッショナルとして知られています。築地本願寺の職員、僧侶たちも、彼・彼女ら以上にかゆいところに手が届くサービスができる、人生のコンシェルジュになってほしい。頼りがいのあるお寺になってほしい。目標に届くまではまだ時間がかかると思いますが、前に進んでいることは確かです。
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