イケメン「教育YouTuber葉一」動画の凄い可能性 どうやる?対面とミックスした授業づくり
さらにYouTubeは、最初の5~6秒が勝負といわれていて、動画をクリックしたときに最初に見える“板書のきれいさ”にはとくに気をつけていますね。実際の動画では、自分は映さずに、板書だけ映るようにしています。きれいな板書を見て「これなら頑張れそう」と思ってほしくて。
――実際、動画を見てみると「最初」の重要さがよくわかります。今は、板書を中心とした授業に否定的な人もいますが、葉一さんは、板書を大切にされているんですね。
かつて板書をしながら授業をしていたこともあるのですが、授業時間が長くなり子どもたちが飽きてしまう。だから、先に板書はしておいて、授業時間を短くしました。校長先生の話などで、いつ終わるかわからなくて途中で飽きてしまう子どもっていますよね。最初に板書がしてあると、ゴールがわかって、子どもたちも集中しやすいんです。1本の動画で1板書にし、授業で答えを埋めていく……1つの美しい作品を作るようなつもりで作成しています。
何より、僕は手書きの力を信じています。電子黒板のほうが使い勝手がいいのかもしれませんが、授業は人間味のある血の通ったものであってほしい。板書は字を詰めすぎると見にくいので、行間やスペースのほか、フォントにもこだわっています。少し丸みがある字体にすることで、男女どちらにも親和性のある字体にするよう心がけているんです。
もともとは男っぽい字なんですが、それだと女の子の気持ちが離れますし、丸字すぎると今度は「男性の丸字ってアホっぽい」と男の子と保護者に敬遠される。塾時代の子どもたちに聞いて改良を重ねてきたのですが、実際僕の字でやる気が出るという子どもたちもいます。手書きだから、伝わるものがあるんです。
教育改革を止めるな「動画教材作り」のポイント
――コロナ禍の休校で、動画を使った授業に対する関心が一気に高まりました。新型コロナウイルスは、いまだ収束の兆しが見えませんが、教員向けに動画教材作りのポイントについて教えてください。
最初に、動画で何を学べるのかを明確に伝えましょう。どこからスタートし、どこがゴールなのか。そこを明確にしたほうが、子どもたちは授業についていきやすくなります。
あと、時間にとらわれないこと。通常の授業のように動画も45~50分にする必要はありません。時間を分割して、1回5~6分程度でやってみてください。動画は「あと何分」という残り時間が表示されるので、そのほうが子どもたちは授業に集中しやすくなります。
オンライン授業であればチャット機能をうまく使うのもいいと思います。学校によっては使ってはいけないというところもありますが、普段の授業で手を挙げられない子でも、チャットなら発言できる子がいる。しかもチャットを書くとき、子どもはインプットからアウトプットへ切り替わります。インプットだけだと飽きるので、うまく使ってほしいですね。
休校中、先生からの相談があって思ったのは、先生は教育のプロであり映像授業のプロではないということ。後ろめたさがあるのか、自信なさそうに授業をしていて、先生が楽しく授業をしていてもわからない。映像の場合、通常の対面授業の2~3割増しで作らないと伝わらないんです。だから、いい意味で“演じる”こと。授業の雰囲気をつくるためにも、先生は割り切って演技してください。
また、今の子どもたちはびっくりするくらい目と耳が肥えているので、機材をそろえること。撮影はスマホでもクリアに撮れますが、手ブレやピントが合っていないといった見え方に気を使うのと、できればピンマイクを買ってほしいですね。ピンマイクを使うと画像と音声をつなげなければならないので編集ソフトが必要になるのですが、無料ソフトもあります。高い機材を買う必要はありませんが、画面が見えにくい、音が聞こえにくい動画はかなり敬遠される可能性が高くなります。