わが子と「14年ぶりに再会」した53歳男性の思い 浮気が理由で離婚後、会うことができなかった
健司さん(仮名、53歳)はいつもどおり、商談のために客先へ車を走らせていました。
もうすぐ到着というところへ、見知らぬ番号から着信が入り、いつものとおり仕事モードの口調で電話に出てみると、「もしもし、佐々木健司さんの番号ですか? 私、健太です……」と若い男性からの電話でした。
その声を聞いた健司さんは車をすぐに路肩へ寄せ、ハンズフリーからハンドフォンへあわてて切り替え、スマホを自分の耳へ押し当てました。
「健太さんって、香川(14年前に離婚した元妻の苗字)健太さんですか?」
少しの間があって「はい。そうです。あなたの息子の健太です」。
健司さんは、わ~っとこみ上げる思いと、うれしさからの涙を抑えながら、「健太、よく連絡してきてくれたね。本当に本当にうれしいよ。健太、今年で20歳になるね。連絡してきてくれてありがとう」と声を絞り出しました。それはとてもドキドキした瞬間でした。
子どもたちとは一度も会うチャンスを貰えなかった
14年前に健司さんが魔がさしてしまったばかりに数年連れ添った妻と離婚することに。幼い子どもがありながら他所の女性と関係を持ってしまった夫がどうしても許せなかった妻が離婚を申し立てたのです。それ以来、健司さんは欠かすことなく毎月仕送りをしていましたが、子どもたちとは一度も会うチャンスも貰えず、電話で連絡も許されないまま月日だけが流れ、この日を迎えたのです。
健太さんは、20歳を迎えるに当たり、「自分の父親と会いたい」という思いが強く募るようになり、「母親とけんかをしてでも父の連絡先を聞いて会う」と決心。
健司さんは、幼いころの息子、そして娘の写真をこの14年間ずっと大切にいつも携帯していました。健司さんにとって2人の子どもの成長は14年前のまま。実際に子どもたちと会った瞬間すぐに、大人になった子どもたちに気がつけるのか、いささかの不安を抱えつつ、健司さんの住む町の最寄り駅で待ち合わせをしました。
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