【産業天気図・建設業】新政権の公共事業圧縮打撃、民間投資意欲も鈍い、1年終始「雨」

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10年4月~9月 10年10月~11年3月

建設業界は2011年3月まで終始「雨」となる厳しい環境だ。鳩山政権による公共事業規模の2割圧縮に加えて、国内企業の生産設備の新・増設大幅抑制が痛手だ。政府には整備新幹線や防災関連、新型コンテナ港湾設備といった特定のプロジェクトを手厚くする動きが見えてきたが、業界主要各社は大幅減益をまぬがれないだろう。

大手4社(清水建設<1803>、大成建設<1801>、大林組<1802>、鹿島<1812>)が2009年4~12月期終了時点で示した単体の受注額は、前年同期比でいずれも3~4割減という歴史的な落ち込み幅だった。土木の比重が低い清水建設を除く3社では土木が、官公庁・民間・海外とも大幅に落ち込んだ。

また国内民間は清水建設を含めた4社が軒並み大きく減少。この傾向は4社以外でも、大手の竹中工務店<非上場>、戸田建設<1860>、前田建設工業<1824>といった準大手クラスと、それら以下の中堅クラスにも当てはまる。各社とも受注が集中する10年1~3月期での巻き返しを見込んでいるが、この目算が外れる可能性も否定できない。

こういった足元の受注高の目減りを受け、来11年3月期は国内の手持ち工事が官民とも減る見通し。新規の受注は、アジアを中心に海外を積極開拓できるかにかかっている。だが、大手ゼネコンは5年前のドバイ進出の工事損失リスクを会計処理する時期。前のめりの身動きがとりづらく、好採算案件に絞った選別受注にとどまりそうだ。よって、11年3月期の大手ゼネコンの当初受注見通しは4社とも1兆円を下回る水準まで下げてくる可能性がある。

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