アメリカの株価が急落する「Xデー」はいつか マーケットの転換点は2021年早々に始まる?

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結局、トランプ大統領の人気は、やはり相当高かったということであり、議会選で共和党の票が伸びたのは、トランプ大統領に勝たせたい一心で投票所に赴いた支持者が、「ついでに」共和党の議員候補の名前を書いたというのが多かったからなのではないか。

となるとトランプ大統領がいない1月の決選投票は、共和党がかなり不利になると見ておいたほうがよいだろう。大統領選で勝利し、気をよくした民主党の支持者はこのままの勢いで決選投票にも足を運ぶと思われるが、一方で共和党の支持者は意気消沈している。

大統領選の決戦投票ならば、今度こそと盛り上がるのかもしれないが、トランプのいなくなった共和党には、とくに興味もないという人も多いだろう。共和党支持者の投票率が下がれば、思った以上の大差で民主党候補が勝つことも、十分にありうるのではないか。

マーケットには民主党の勝利は必ずしもプラスではない

もっともマーケットにとってみれば、それは必ずしもよいことではない。

確かに、短期的には民主党が上下両院で多数を取ることで、今よりも規模の大きい景気支援策が早期に成立する可能性が一気に高まることになる。これで主要株価指数が改めて史上最高値を試す展開になることになっても、何ら不思議ではない。

だが、それも実際に景気支援策が成立するまでの話となるだろう。その後は買い材料も出つくし、大幅な財政出動に伴う財政赤字の拡大や、それに伴う金利の上昇といった負の側面に注目が集まるようになれば、株価の調整圧力は一気に高まってくることになる。

しかも、その次に民主党から出てくるのは、企業や高額所得者に対する増税や、規制強化、GAFAと呼ばれるハイテク大手の解体といった、市場にとっては好ましくない民主党の過激な政策ばかりということになりかねない。

また、対中国政策に関しても、口では威勢のいい、強気の発言を繰り返していても、いざとなれば中国に対して譲歩の連続だったトランプ政権に比べ、より厳しい方針を打ち出してくる可能性が高いと見ておくべきだ。

来年の1月5日に決選投票が控えていることを忘れず、民主党が勝利することがあれば、大型財政出動への期待に市場が浮かれているのを横目に、こうした弱気シナリオに対する警戒感を高めておく必要がある。

松本 英毅 NY在住コモディティトレーダー

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まつもと えいき / Eiki Matsumoto

1963年生まれ。音楽家活動のあとアメリカでコモディティートレードの専門家として活動。2004年にコメンテーターとしての活動を開始。現在、「よそうかい.com」代表取締役としてプロ投資家を対象に情報発信中。NYを拠点にアメリカ市場を幅広くウォッチ、原油を中心としたコモディティー市場全般に対する造詣が深い。毎日NY市場が開く前に配信されるデイリーストラテジーレポートでは、推奨トレードのシミュレーションが好結果を残しており、2018年にはそれを基にした商品ファンドを立ち上げ、自らも運用に当たる。ツイッター (@yosoukai) のほか、YouTubeチャンネルでも毎日精力的に情報を配信している。

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