朝型生活の男性が「5カ月で15キロ減」成功の訳 コロナの影響で生活リズムや体重も変化する

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「心がけ次第」と言えばそれまでだが、やはりコロナが生活リズムに及ぼす影響は無視できない。外出自粛、テレワーク、オンライン授業などコロナ禍の新常態で生活スタイルに大きな変化を強いられている人は多いはずだ。前出の研究は、この特異な状況を利用して生活習慣と肥満の関係解明を試みるために行われた。

大規模な社会実験に取り組んだのは、早稲田大学理工学術院の柴田重信教授、田原優准教授と食事管理アプリ「あすけん」を運営する企業askenの研究グループ。「あすけん」は、食事の画像など簡単な食事記録でカロリー計算・体重管理ができるスマートフォンアプリで、ダイエット目的の利用者が主だ。外出自粛中の生活リズムの変化が体重に及ぼす影響を調べるため、5月25日~6月1日、10代から70代の約3万人のアプリ利用者を対象にアンケートを実施した。

体内時計は睡眠・覚醒、体温、ホルモン分泌など生体のさまざまな機能に見られる昼夜差や日内変動を制御するシステムだ。体内時計の乱れは睡眠障害、肥満、糖尿病、循環器系疾患、寿命の低下などさまざまな健康被害につながる。

体内時計が乱れる要因として近年、問題視されているのが「社会的時差ボケ」と呼ばれる平日と休日の生活リズムの差だ。

夜型の人は、仕事や学校の授業がある平日は早起きと睡眠不足の生活を送る一方、週末は一層夜更かしし、休日に朝寝坊する生活を送る。いわゆる「寝だめ」だ。こうした生活リズムの差によって生じる社会的時差ボケは若者に多く、学業成績の低下や肥満などの生活習慣病との関連のほか、免疫機能低下にも影響すると言われている。

これまでも朝食を取らなかったり、遅い時間に夜食を取ったりする習慣は肥満につながり、健康によくないと指摘されてきた。だが実際、どのような食べ方や生活をすれば、体重をコントロールできるのかはよくわかっていなかった。

この点について、外出自粛などで短期間に生活習慣が大きく変わった人が多いコロナ禍に調査を実施すれば、生活習慣と体重変化の関係をつかめる可能性がある、と研究グループは踏んだのだ。

朝型はやせ、夜型は太る

結論から先に言えば、冒頭で述べたように外出自粛期間中に朝型化した人はやせ、夜型化した人は太ったことが明らかになった。なぜそう言えるのか。調査結果の詳細を見ていこう。

(イラスト:土井ラブ平)

平日の生活習慣で最も顕著な変化が見られたのは10代だ。起床時刻は外出自粛前に平均午前6時45分だったのが、自粛後は午前7時37分に。就寝時刻は午後11時55分から、午前0時14分にずれ込んだ。

平日の寝る時間、起きる時間が遅くなり、生活リズムが夜型化する傾向は10代から30代に共通していた。一方で、休日は生活リズムに変化は見られなかった。その結果、これまで問題視されていた平日と休日の生活リズムの差が大きく解消されていることがわかった。

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