アラスカのクルマ旅で見つけた「衝撃のホテル」 広大な自然の中にそれはあった
僕の旅のほとんどは「決めごと」がないままに出発するが、痛い目に遭ったことがないのは単にラッキーなだけなのだろうか。
例えば、ホテルを予約していたら、そこに予定通り着くため、あれこれ犠牲にしなければならない可能性は大だ。そんなことで、ほとんどなにも決めごとのない旅はスタートした。
フェアバンクスでクルマを受け取り、まず向かったのはデルタジャンクション。アラスカ・ハイウェイ北端の町だ。この間はそこそこの町もあり、行き交うクルマもあった。ドライブインもあり、アメリカのカントリーエリアを走っているのと、大差はなかった。
デルタジャンクションには、アラスカ・ハイウェイの起点を示すポールがあり、ポールには、ニューヨーク、パリ、モスクワ、ロンドン(明確な記憶ではないが)、、といった世界の大都市の名前と距離が描き込まれたダイレクションボードが。
モスクワやロンドンよりはるかに距離は近いものの、これから始まる旅に、なんとなく寂寥感というか、孤独感というか、、そんな感覚を抱いたことを思いだす。折からの「重い曇り空」のせいだったかもしれないが、、。
走っても走っても景色が変わらない
デルタジャンクションの町を出たところから、一気に景色は変わった。
もう40年以上も前のことなので、記憶はブツブツ状態だが、広大な自然の中に突然放り込まれた、、そんな感覚が残っている。ハイウェイとはいっても、元々、戦時に突貫工事で造られた道路。一般的なハイウェイのように、走りやすさとか安全性への配慮考慮はほとんどなかったのだろう。
1940年代のままだったのかどうかはわからない。が、僕が走った1979年でも、けっこうきつい坂が連続したり、非舗装路面、それもかなり荒れた路面がほとんどだった。
森林を切り拓いて造った道路だから、道幅も狭い(ときに広いところもあるが)。アラスカの森林はほとんどが針葉樹で、その中を通るハイウェイは、走っても走っても景色はほとんど変わらない。
自然のままの渓流が寄りそうように流れるところもあるが、そんなところでは、癒されるというか、なにかホッとした気持ちになる。水流の透明さにも心惹かれた。延々と続く針葉樹の森林も、時にしぶきを上げながら流れる美しい渓流が加わったときは、退屈さから解放された。
アラスカ・ハイウェイの大半は「動物保護区」の中にあり、動物を轢いたりするとペナルティが課される。これにはけっこう緊張した。オーストラリアや北欧のドライブで、野生動物との「危うい場面」には何度も遭遇していたからだ。