犯人は生き物好き?池にブラックバスを放つ謎 悪質行為で貴重な生物の命が失われていく

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これは明らかに貴重な生き物がいる下池ビオトープを狙った行為だと考えられます。バスが生き残ろうが死のうが関係ないような投げやりなやり方、釣り上げてからわざわざ運んで来るという執念、それらの行為を執拗に繰り返すという粘着質な手口。非常に悪質な感じも受けました。でも、ここまでの恨みを抱く理由が私には分かりませんでした。

ふと、「どうしてこんなことをするのでしょうか?」と地元で活動に取り組んでいる東海タナゴ研究会の北島淳也さんに聞いてみました。「なんでしょうね。テロなんですかね」。北島さんは淡々と答えました。

悪質な行為に戸惑う人々も

犯人は今も分かりません。しかし、下池の状況を知る関係者には気になる存在がいます。それは「一部の悪質なバサー」です。

ブラックバスは一部の釣り人らには、非常に人気のある魚でもあります。バス釣りを楽しむ人々をバサーといい、バスプロと呼ばれる専門の人々までいるほどです。

もちろん、誰も証拠を持っていませんので、本当に悪質なバサーによる行為なのかどうかは分かりません。すべてのバサーが悪い人なのでもありません。一方で、一部の悪質なバサーによる迷惑行為は、何年も前からたびたび各地で問題となってきました。

立ち入り禁止場所で釣りをする、糸(ライン)やルアーなどの投棄、ゴミやタバコのポイ捨てなど、悪評は多々あります。中には「ゲリラ放流」などといって、ブラックバスを密放流するものもいたといいます。

「ゲリラ」などと聞くとたいそうな感じですが、何のことはありません。自作自演の犯罪行為を勝手にそう呼んでいただけです。そうした行為に地元の人たちや、環境団体、NGOなどは怒っています。

強調しておきたいのは、ブラックバスを釣ること自体は法に触れないことが大半だということです。また、今バス釣りをする人の大半は、ブラックバスが日本各地に広く分布し、釣って楽しい魚だから釣っているだけです。

あえて生態系を破壊しようなどとは考えていない人がほとんどでしょう。ゴミ拾いをして帰ったり、ため池でのかいぼりなど、外来魚の駆除作業に協力したりする人もいます。中には「昔ブラックバスを逃がしてしまったので、罪を償いたい」と言って参加を申し出る人すらいるそうです。

しかし、一部の心ない人の悪質な行為が地元との摩擦を生み、バサー全体のイメージを悪化させていることも事実です。東海タナゴ研究会のメンバーは「テロに使われるバスも被害者だ。バサーも一緒に怒って欲しい」と呼びかけます。

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