犯人は生き物好き?池にブラックバスを放つ謎

悪質行為で貴重な生物の命が失われていく

この「下池のウシモツゴ」たちが琵琶湖博物館で大事に保存される一方、2004年には地域の小学校などと連携し、ウシモツゴを里帰りさせるプロジェクトが立ち上がりました。大人たちも取り組みを進めました。

2008年に生物多様性保全活動を通じた地域づくりを目指して組合を作り、観察会やシンポジウムなどで少しずつ意識の向上や、合意形成を進めていきました。ビオトープを造成し、ウシモツゴがすみやすいよう改良も重ねたのです。

2014年、ついに50匹のウシモツゴが里帰りして、ビオトープに放されました。その後も地域の人たちとともに、定期的に生息の状況を調べるなど、放流後のモニタリングも行っています。翌年には産卵も確認されたそうです。

誰かがブラックバスを放った

2019年8月、このビオトープで大事件が起きました。ブラックバスが放されたのです。しかも3回にもわたって。ブラックバスは北米原産の肉食性の淡水魚。日本では在来の魚や昆虫を食べてしまい、各地で生態系を破壊しています。

外来生物法で特定外来生物に指定されており、移動や飼育、放流は禁止です。自治体によっては、釣った後のリリースすら禁じているところもあるほどです。

ブラックバスは毎回複数匹ずつ池に放たれていました。口にはルアー釣りで付いたとみられるフックの跡が残っている個体もいたといい、飼育されていた個体というよりは、放された時点からそれほど経っていないタイミングで釣り上げられて、運ばれてきたと考えられます。

池に放されて、すぐに死んでしまった個体もいましたが、その年の11月に池干しをした時まで生き残っていたものもおり、ウシモツゴの数も例年の5分の1以下に減っていたそうです。

不可解なのは、下池ビオトープはブラックバスの生息に適しているとはとても思えないことです。下池ビオトープの周囲はずっと大きな池に囲まれており、さらに500メートルほど東に行けば岐阜県の人気バス釣りスポットとして知られる五三川もあります。

バスの放流はもちろん違法行為ですが、それでももし放流した人がバスの命を大切に思っているのなら、せめてバスがすみやすそうなところに放しそうなものです。

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