日経平均反落、一時1万4000円割れ 為替は3カ月半ぶりに1ドル=100円台に

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5月21日、東京株式市場で日経平均は反落。前日の米株安や上値の重いドル/円が重しとなったが、売り一巡後は割安感などが意識され、下げ渋った。東京証券取引所で3月撮影(2014年 ロイター/ Issei Kato)

[東京 21日 ロイター] - 東京株式市場で日経平均は反落。前日の米株安や上値の重いドル/円

日経平均は一時110円安となり、節目1万4000円を一時割り込んだが、一段の下値を売り込む動きは乏しかった。マネックス証券チーフ・ストラテジストの広木隆氏は「過去に日経平均1万4000円で下げ渋った実績がある。レンジの下限に近く、1万4000円より下値を売っても利益を取りづらい」との見方を示す。欧米株に比べて割安な日本株のバリュエーションも下支え材料となった。

東証が公表している空売り比率が直近2カ月以上にわたって30%超となっており、買い戻し余力も強いという。市場では「日経平均1万4000円割れの水準では押し目買いが強まるうえ、売り方の買い戻しも入りやすい」(準大手証券)との声が出ていた。

ただ東証1部の売買代金は1兆5680億円と引き続き低調で、手掛かり材料に乏しいという。日銀は金融政策決定会合で金融政策の現状維持を決定。金融政策運営に関して、異次元緩和を導入してから明記し続けてきた「15年近く続いたデフレ」などの表現が削除されたが、「黒田総裁の会見内容を確認したい投資家が多い」(広木氏)といい、売買は膨らまなかった。

寄り前に発表された4月の貿易収支は8089億円の赤字となった。ロイターがまとめた予測中央値(6460億円の赤字)ほど赤字幅が縮小せず、「円高進行の引き金になるとの警戒感があったが、ひとまず杞憂に終わった」(岡三証券・日本株式戦略グループ長の石黒英之氏)との声が出ていた。

個別では不動産株の下げが目立った。業種別指数では不動産業<.IRLTY.T>が値下がり率トップ。三菱地所<8802.T>住友不動産<8830.T>は一時3%超の下げとなった。日銀の金融政策決定会合で金融政策の現状維持が決定され、緩和メリットセクターが売り直されたという。米キャタピラーの売り上げ減を受け、コマツ<6301.T>日立建機<6305.T>も軟調だった。

半面、カナダで液化天然ガス(LNG)輸出ターミナルを受注した千代田化工建設<6366.T>や、自社株買いを発表した大幸薬品<4574.T>などが買われた。

東証1部騰落数は、値上がり672銘柄に対し、値下がりが983銘柄、変わらずが155銘柄だった。

日経平均<.N225>
終値      14042.17 -33.08
寄り付き    13969.71
安値/高値   13964.43─14054.24

 

TOPIX<.TOPX>
終値       1150.05 -3.33
寄り付き     1145.17
安値/高値    1143.63─1150.96

 

東証出来高(万株) 179577
東証売買代金(億円) 15680.61

 

(杉山容俊)

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