北海道「100年続く路線廃線」で考える街の再生 日高本線は来年4月に廃線になることで合意

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1つのヒントになる事例がある。2022年に、JR北海道で20年ぶりに新駅が誕生するというのである。

新駅建設が計画されている場所は、JR札沼線の「あいの里公園ー石狩太美」間で、当別町にある菓子メーカー、ロイズコンフェクト(ロイズ)のふと美工場から300メートルほど南側に位置しているという。

ロイズと当別町がJRに請願し、建設費を負担する「請願駅」の形式だ。札幌市内から約30分という近郊で、ロイズは工場の見学施設などを充実させて観光客を呼び込む計画で、当別町も自動運転バスの運行や周辺開発を進める、と伝えられている。

企業や大学との連携も

つまり、駅に人が集まる仕掛けづくりを道や地域自治体が、企業や大学などと組んで行うのだ。馬などの動物と触れ合えるノーザンホースパークのようなテーマパーク、温泉を活用したドイツのバーデンバーデンのような長期滞在型タウン、特産品を活用した新工場建設など豊かな観光資源と土地資源、特産物などを活用したアイデアを自治体サイドでも考えていく必要があるのではないだろうか。

東京一極集中解消策のひとつの柱である移住や、企業移転の動きも大きなチャンスだ。コロナ禍が続く今はインバウンドも来ず厳しい局面だが、10年後、20年後を見据えた「再生物語」が生まれることを期待したい。

山田 稔 ジャーナリスト

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やまだ みのる / Minoru Yamada

1960年生まれ。長野県出身。立命館大学卒業。日刊ゲンダイ編集部長、広告局次長を経て独立。編集工房レーヴ代表。経済、社会、地方関連記事を執筆。雑誌『ベストカー』に「数字の向こう側」を連載中。『酒と温泉を楽しむ!「B級」山歩き』『分煙社会のススメ。』(日本図書館協会選定図書)『驚きの日本一が「ふるさと」にあった』などの著作がある。編集工房レーヴのブログも執筆。最新刊は『60歳からの山と温泉』(世界書院)。

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