「なぜかいい決断ができる人」がしていること 感情を押し殺さないで、うまく利用するには

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決断するときに感情と向き合うのが大切なもう1つの理由は、実際、行動を決める際はすでに感情が絡んでいるからです。純粋に論理だけで何かを選ぶのは不可能でしょう。シートベルトをするかしないかのような単純な選択でさえ、感情面の影響は切り離せません。

ただし、すべての感情を同等に検討する必要はありません。あなたの脳が発するすべての声を、よく吟味せずにあてにするのは危険です。心理学では「関連性のある感情」と「関連性のない感情」を区別しています。

(イラスト:リズ・フォスリエン)

関連性のある感情は、目の前にある選択に直接結びつく感情です。例えば昇進の希望を出すか否かを決めようとしていて、希望を出さなかった場合は後悔するだろうなと思うなら、関連性のある感情です。こうした感情は、選択肢を吟味して絞りこんでいく際の手がかりとして有効です。

関連性のない感情は、選択しようとしている事柄と直接の関係はないものの、決めようとする過程で何かと顔を出してきます。例えばリズがたんすの角に足の指をぶつけたり、駐車違反の切符を切られたりしたとします。むしゃくしゃした気分になったリズには、同僚が出してくる提案が急にどれも使えないレベルに思えてくるかもしれません。

関連性のある感情は「心のナビ」

大原則は「関連性のある感情は無視しない、無関連の感情には振り回されない」です。何かを決めるとき、「私はどう感じているか」と問いかけてみましょう。自分の感情を把握したら、目の前の選択と関連があるかないかで分けて考えます。「いま自分は不安を感じているな」と思ったら、いまから下す決断について不安なのか、あるいは大事なプレゼンを明日に控えて不安になっているのか、よく考えてみることです。この違いをしっかり区別できれば、上手に決定を下せるようになります。

関連性のある感情はあなたを導く「心のナビ」ととらえてみてください。2つの選択肢から1つを選んだ場合にどうなるかを考えたとき、プラスかマイナスどちらかの感情がわいてくるはずです。

関連性のある感情は、リンゴかオレンジかのように違うものを比較検討するときに使える共通通貨です。人生には、なかなかうまく比較できないような選択肢から1つを選ばなければいけない場面があります(例えば「ロースクールへ行くか、それともヨガのインストラクターになるか?」など)。そんなとき、それぞれの選択肢のメリットとデメリットを並べても答えが出ないようなら、それぞれを選んだ場合にどう感じるかを考えてみるのはヒントになります。

選択肢と直接関連性のある感情は、無関係な感情より長く持続する傾向にあります。数時間か数日たっても同じ気持ちが消えないのなら、おそらく関連する感情と判断してよさそうです。関連性のある感情として一般的なものを以下に挙げてみるので、こうした感情をどう解釈すればいいのかを考えていきましょう(時と場合によって、関連性があったりなかったりする感情もあります。ここでは代表的な例を挙げています)。

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