新アップルウォッチの凄すぎる健康機能の全貌 使ってわかったバッテリー持続時間の向上

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また、新型コロナウイルスですでに20万人もの人が命を落としているアメリカにおいては、引き続き、Apple Watchが健康管理や、心電図のような医療機器としての役割を拡大させていく流れは止まらない。

特にカリフォルニア州での人々の健康に役立つ機能を重視しており、山火事の被害が大きかった2017年にはApple Watchの天気アプリに空気の質の表示を加え、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、自宅に着いたら手洗いを促し、20秒のしっかりとした手洗いをカウントするタイマーまで2020年に対応した。

医療費も健康保険料も高騰しているアメリカにおいては、病院や保険から人々が離れつつあり、Apple Watchは既存の医療体制に頼らない健康管理ツールとして、あるいは将来の医療の再構築に向けて重要なデバイスになる可能性すらある。もちろん、Appleは徹底的にプライバシーを強化し、医療情報を担う資格があるブランドとして、その地位を確保しようとしている。

スマートウォッチの新しい役割

Apple Watch Series 6には、これまで通り、Apple Payによる非接触決済が利用できる。日本でも、Suica、iD、QUICpayに対応しており、鉄道やコンビニ、飲食店での決済を手首で済ませることができる。

特に日本では交通系ICカードであるSuicaが便利だが、首都圏の地下鉄・私鉄が採用する交通系ICカード「PASMO」が10月6日からApple Payに対応し、Apple Watchでも利用できるようになることも、手首での決済活用の後押しになるだろう。

新型コロナウイルスの感染防止の観点から、非接触決済が推奨されている昨今、スマホすら取り出さずに決済ができるApple Watchの決済機能は、より重視されていくことになるはずだ。

ただし、日本の改札機の多くは、ICリーダー部分が右側にある。右利きの筆者であっても、時計を右腕にしなければ、スムーズに改札を通ることができないのだ。もっとも、最近はあまりペンや鉛筆を長時間使うことも少なくなっており、利き手の右手に時計をしていても、さほど気にならなくなってきた。これは慣れの問題と言えるかもしれない。

加えて、Apple Watch Series 6には、iPhone 11と同様、U1チップが内蔵された。これはUWB(ウルトラワイドバンド)での無線通信を受け持つチップで、通信するデバイス同士の向きや5mまでの距離を正確に把握することができる。

2020年6月にバーチャル開催された開発者会議WWDC20で発表された、iPhoneやApple Watchを自動車の鍵にする仕組み「CarKey」は現在、Apple Payと同じNFCを用いて、タッチすることで鍵を開ける仕組みを実現しているが、今後UWBで、タッチしなくても鍵を持っていれば解錠やエンジン始動ができる仕組みを実現していくロードマップがある。

Apple Watch Series 6がU1チップを内蔵したことで、自動車側の対応が進めば、腕に着けていれば車に乗れる仕組みを実現できることになるだろう。

iPhoneがそうであったように、生活に関わるさまざまな機能やサービス、あるいは自分の健康に関わるサービスがスマートウォッチに統合されていくと、ますます重要になるのはバッテリー持続時間だ。確かにSeries 6の電池の持ちは格段に良くなっている。しかし毎日の充電が必要なことも事実だ。

2020年モデルで根本的な改善が見られなかった点は残念なポイントであり、数日あるいは1週間充電不要なスマートウォッチを擁する他のメーカーにも、まだチャンスがあるといえる。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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