人手不足の老人ホーム、あの手この手で挑む策 離職をどう防ぐかが業界が抱える大きな課題
そこで合掌苑では、当初予定の出勤時間と実際の出勤時間の差、当初予定の退勤時間と実際の退勤時間との差を毎月、職員ごとに集計した。差が15時間を超えた職員は社内報に実名で公表することにより急速に減少し始め、2018年度には平均残業時間が2.1時間にまで減った。「この時間には移動の時間なども含まれますので、サービス残業はほぼなくなりました」(長村マネジャー)。
さらに合掌苑では、シングルマザーの職員も働きやすいように、夜勤専門と日勤専門に完全分離した。勤務体系は3日働いて4連休の後、4日働いて3連休とした。なお、夜間専門の人は、既存の職員とは別に募集をかけている。
夜勤と日勤を分離させる
「従来の、夜勤を行って1.5日休みというローテーションだと、時差ボケみたいに身体のリズムがおかしくなり、ある程度の年齢になると長く続けられなくなってきます。新しい勤務体系だと、連休中に身体のリズムを整えられますので中高年齢者でも働けます」(長村マネジャー)。
また、シングルマザー向けの特別支援策としては、次のようなことも行っている。
・「子供の看護休暇」は、法定は、小学校入学までの子供1人につき5日だが、さらに充実させて、中学校入学までの子供1人につき10日まで有給で取得可能。
・「企業内託児室」を設置。平日は、保育園が終わる時間から夜10時まで(遅番勤務終了:夜9時30分)、日曜・祝祭日は終日、子供を預かる。利用料は無料で、小学6年生まで利用可能。
上記のうち、「子供の看護休暇」の取得率はほぼ100%。「託児室」は30人を超える子供が利用しているそうだ。
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