ソニーが2年連続の最終赤字へ、構造改革費用で 前2014年3月期は1284億円の損失
[東京 14日 ロイター] - ソニーは14日、2015年3月期の連結当期純損益(米国会計基準)が500億円の赤字になると発表した。前年同期は1284億円の赤字で、2年連続の最終損失。前期まで3年連続でエレクトロニクス事業が赤字になったことを踏まえ、人員削減や資産減損など構造改革に関連する費用を計上する。
期初の見通しで最終赤字を予想するのは、リーマンショック後の2009年以来。記者会見した吉田憲一郎・最高財務責任者(CFO)は「大変申し訳なく思う」と陳謝。その上で、「2014年度の最大の課題は構造改革。今期でやり切る」と強調した。
今期の構造改革費用は1350億円を計画。前期は、パソコン(PC)撤退費用や電池やディスク事業の減損処理で1774億円を計上した。今期も、7月に事業譲渡するPC撤退費用のほか、本社や販売会社の人員削減、一部資産の減損を織り込んだ。
また、今回から「構造改革費用」の範囲を広げ、事業構造を変える取り組みにかかる費用をすべて開示した。前回までの基準にすれば、14年3月期に806億円(従来予想は700億円)で、今期も800億円程度の計画になるとしている。
<コスト構造改革遅れた>
2014年3月期は、液晶テレビ事業が10年連続で赤字になった上、パソコン事業は赤字を踏まえて撤退を決断。リチウムイオン電池事業の減損も響き、エレクトロニクス事業は3期連続の赤字を計上。3回の下方修正を繰り返し、2年ぶりの最終赤字に陥った。
前年5月の経営方針説明会では、14年3月期の営業利益率5%以上を目指していたが、同日発表した今期の業績予想では、売上高が7兆8000億円(前年同期は7兆7673億円)に対し、営業利益が1400億円にとどまった。
吉田CFOは、エレクトロニクス事業の赤字が解消されないことについて「コスト構造を変える取り組みが遅れた」と述べ、これまでの構造改革が不十分だったとの認識を示した。
吉田氏は、昨年12月に、連結子会社のソネット社長からソニー本社に復帰し、今年4月にCFOに就任。今期からソニーの「ナンバー2」として、平井一夫社長を支えることになった。
構造改革は、エレクトロニクス事業の高コスト体質の是正が課題。全世界の販売会社の費用を16年3月期までの2年間で20%削減する。さらに、「ソニ本社の高コスト体質を変えられるかが最大の挑戦」で、前期に1450億円を計上した本社費用を2年間で30%削減する。
<テレビ、11年ぶりの黒字化目指す>
今期は、4期ぶりとなるエレクトロニクス事業の黒字化を目指していく。液晶テレビ事業は14年3月期までの10年間で累計7900億円の赤字を計上したが、7月に分社化し、11年ぶりの利益計上を図る。
テレビ事業について吉田CFOは、分社化で迅速な意思決定ができると強調し「今期の黒字化は可能」と述べた。一方で、前期にテレビ市場の動向を見誤ったことを踏まえて「市場の変化を慎重にモニタリングしていく」とも指摘した。
今期のスマートフォン(スマホ)販売計画は5000万台(前年同期は3910万台)。前期のモバイル事業はパソコンの赤字が響いたが、今期は、日本と欧州以外の地域でも販売を強化し、スマホ販売の大幅増を図る。
今期の据え置き型ゲーム機販売は1700万台(同1460万台)を計画。昨年11月に発売した「プレイステーション(PS)4」の立ち上げ費用などで前期は赤字だったが、今期はPS4の販売増で増収増益を目指す。
(村井令二 編集:宮崎大 吉瀬邦彦)
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