今回の組閣で菅首相の政策のカラーがはっきり出たのは、新たに作られたデジタル改革担当相(平井卓也氏)と、人気だけでなく馬力も備えた河野太郎氏を行政改革・規制改革担当相に据えた人事だけだ。
総裁選で表明した菅首相の政策は、(1)デフレ脱却を目指した大規模な金融緩和の継続、(2)消費税率引き上げの向こう10年の見送りとコロナ対策を名目とした財政支出への積極姿勢、加えて(3)地銀再編・携帯料金引き下げ・デジタル化を伴う行政改革など一連の「改革」的な施策だ。
振り返ってみると、これは第2次安倍内閣成立時にアベノミクスとして大々的に打ち出された、(1)金融緩和、(2)財政出動、(3)規制改革による生産性改善、の「3本の矢」のやり直しだ。
「冷徹仕事人内閣」の実行力に期待
(1)は直前の安倍内閣からの継承で適切だが、(2)に関しては緊縮財政に反対する姿勢を明確にしていて、さらに、これまでうまくいかなかったと評価の多かった(3)規制改革に力を入れる、という方針だと理解できる。
3つの意図が有効に実現するなら、経済政策として望ましいだろうし、特に外国人投資家を中心とする資本市場参加者の期待に沿っている。「令和おじさん」は市場にとっては「いい人」だろう。
印象として、菅首相は、国民には厳しく見えるリーダーかもしれないが、投資家と株価にとっては良い総理だと言えそうだ。株価のために政府があるわけではないが、当面の経済政策として適切だ。分配政策の問題や社会保障制度の効率性の改善などは、菅首相が厚労省の改革に言及していることでもあり、次の課題として期待しよう。
菅内閣には「冷徹仕事人内閣」と名前を付けて、その実行力に期待することにしたい(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承下さい)。
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