大改装で変わる「渋谷地下街」の知られざる歴史

スクランブル交差点下「しぶちか」で生きる人々

渋谷・スクランブル交差点の下、という絶好の場所にある「しぶちか」では現在、30店弱が営業している。写真は喫煙具専門店ありいづみの3代目、有泉宏洋氏(写真:小幡 三佐子)

100年に一度とも言われる大規模開発が続く渋谷駅前、スクランブル交差点の下で、この地の歴史を伝える場所のひとつが静かに姿を消そうとしている。63年の歴史を持つ渋谷地下商店街、「しぶちか」である。

ハチ公前の階段を下ると、約150坪ほどの空間に、婦人服や婦人靴、化粧品、タバコ、ペット用品、ダンス衣装などの個性豊かな店舗が軒を連ねている。小さな店舗にこれでもか、という数の商品が並ぶ光景は何ともノスタルジックだ。もともと戦後、渋谷駅周辺に開かれていた闇市の露天商が自分たちで許可を取って開発を進めた地下街で、坪当たりの売上高が日本一だったこともある。

だが、時代は変わる。2020年9月25日まで現在の形で営業した後、9カ月の大改装を経て2021年7月に誕生するのは、これまでの昭和レトロな、どこか懐かしい空間とはまったく異なる明るく、開放的な空間だという。

なぜ「地下街」ができたのか

あれほどの繁華街でありながら、渋谷の開発が遅れてきたのは地形的な制約からである。スリバチ状の地形の、底に駅がある街では大きなビルを建てようにも土地がない。そこで現在、建物を上へ、上へと伸ばすことで街を変えようとしているわけだが、しぶちかが生まれたのも同じ理由からである。土地がなかったのだ。

改装前の9月25日まで売りつくしセールを行っている(写真:小幡 三佐子)

戦後、主だった駅周辺には闇市ができた。渋谷でも最盛期には350とも、400とも言われる露店があったそうだが、親分が現場を仕切る仕組みは民主化の妨げとなるとGHQが嫌った。

そこで1947年以降、徐々に取り締まりが強化され、1950年3月には全露店撤退が指令されるのだが、ただ廃業させただけでは路頭に迷う人が大量に出る。そこで、都は露店からの転廃業者には自主更生資金、集団移転する業者にはマーケット建設資金、集団換地する業者には協同組合組織化と公有地の払下げ、建設融資をするなどの救済策を打ち出した。

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