ホンダ、GMとの提携拡大にみた自前主義の限界 収益低迷の「北米の4輪」に大幅なテコ入れ

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とりわけ北米は世界販売の4割近くを占める。本来であればホンダの屋台骨であるはずだが、2000年代後半に7~8%だった北米事業の利益率は2019年度には3.7%にまで低下。北米事業へのテコ入れが、そのまま4輪事業の再建に直結することになる。

ホンダはセダンを中心とした中小型車やハイブリッド車、GMはピックアップトラックなど大型車やEVを得意としており、新車開発での補完関係を築きやすい。ホンダ側の部品の現地生産も進んでおり、調達面での連携も比較的容易だ。

4輪事業の再建とGMとの協業深化を進めるのは、自動運転や電動化などCASEと呼ばれる次世代技術の開発競争が活発になっていることが背景にある。ホンダも年間8000億円超の開発費を投じるものの、独フォルクスワーゲン(VW)やトヨタ自動車など業界トップメーカーやIT大手に比べると見劣りする。ホンダはEVなど一部分野では出遅れも指摘されており、巻き返しのためにも協業は欠かせない。

新型コロナウイルスによる事業環境の悪化も提携拡大の背中を押した。ホンダの北米での4~6月期の4輪販売台数は前年同期比で68%も減った。世界の4輪需要がコロナ前の水準まで戻るには3~4年程度要するとの見方が大勢だ。2輪に至っては、主力市場のインドや東南アジアでの感染収束が遅れ、販売回復時期の見通しさえ立たない。苦しいのはGMも同様で、両社とも投資への余力を失いつつある。

資本提携には踏み込まず

自動車業界ではVWとアメリカのフォードが自動運転などの開発で提携したほか、仏グループPSAとFCAが経営統合を決めるなど、合従連衡の動きが加速。ホンダはこれまで業界の仲間づくりの波に乗り遅れ気味だったが、GMとの提携拡大が実現すれば巨大市場の北米でも有数のアライアンスになる。

「GMと資本関係の議論はまったくしていない」とホンダ幹部が言うように、提携の範囲は拡大しても、あくまで資本の独立は維持するという従来方針に変更はなさそうだ。今回の提携は北米での事業に限られるが、ほかの地域に展開していくことも考えられる。将来的には生産拠点を相互活用する可能性もある。

4輪改革を進めてきた八郷社長には、今回の提携を通じて、目に見える形で成果を出すことが求められる。

岸本 桂司 東洋経済 記者

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きしもと けいじ / Keiji Kishimoto

全国紙勤務を経て、2018年1月に東洋経済新報社入社。自動車や百貨店、アパレルなどの業界担当記者を経て、2023年4月から編集局証券部で「会社四季報 業界地図」などの編集担当。趣味はサッカー観戦、フットサル、読書、映画鑑賞。

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