今回は、いわゆる官邸官僚だった。安倍政権の虎の威を借り、力を持った(と勘違いした)官邸官僚たちは、世の中はなんでも頭のよい自分たちの考えのとおりに動くと勘違いした。
そして、コロナというわかりやすい危機で、「アベノマスク」という誰にでも失敗だとわかる政策でバブル崩壊の決定的なきっかけを作った。その後は、すべてが裏目に出て、コロナ関連の彼らの打ち出した政策はすべて攻撃の対象となった。
彼らのバブルは崩壊し、いったん崩壊し始めれば、その崩壊の力は雪だるまのように膨らんでいき、マスコミの攻撃という津波を引き込んで、安倍首相自体が「崩れて」しまった。これが今回のバブル崩壊である。
バブルが低い水準から始まったことが長期政権を可能に
2012年に終了した民主党政権は、政権交代への期待が最高潮に達したところから、政権が始まった。バブルのピークから政権が始まってしまったために、その勢いが失われれば、後はすべてが悪いほうに転がってしまうのであり、実際そうなった。
一方、第2次安倍政権は、国民の政治への期待が最低水準になった、バブルの底から始まった。第1次安倍政権の悪いイメージが残っていたことも、期待を低くしており、これもプラスだった。
さらに、自民党議員たちが、野党になるというあまりに苦い経験をしたことも、大きなプラスで、政権が維持できれば、当選できれば多くは望まない、という期待値の底辺からスタートし、政権の維持に協力的になった。すべては、バブルが低い水準から始まったことが、安倍政権の人気を、長期政権の維持を可能にしたのである。
奇しくも、その安倍政権の1番の目玉であったアベノミクスとは、明確に、株価バブルを作ることを直接的なターゲットとし、それに成功して、株式市場のバブルを膨らませた。
経済も東日本大震災のどん底からスタートで、バブルが膨らみやすく、実際にもバブルとなり、為替水準も1ドル=80円台前半という円高のピークを過ぎたところから始まったために、今度は円安バブルとなり「観光客戦略」「クールジャパン戦略」「輸出依存復活戦略」が成功したのであった。それを実現したのは、もちろん日銀の異次元の金融緩和によるもので、これは国債バブルを究極まで膨らませた。
したがって、安倍政権自体とは、金融市場も、実体経済も、そして政権そのものもバブルであり、バブル構造に依存して持続したものであったのである。
では、この後はどうなるか。
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