アメリカにおけるインターネット選挙運動の歴史--解禁へ向け動き出したインターネット選挙運動[3]

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 まず、前提となる社会条件として、クレジットカード経由でのインターネット献金が簡単に行えるようになったことにより、若者や女性を献金層に加えることができた。献金額は最終的には5100万ドル(48億4500万円)に達したという。そのうちの58%が200ドル以下の小口献金であった。この「小口」というのが後述のように大きく効いてくる。

また、ブログという双方向的なメディアを用いて支持の拡大を図った。ブログ、そして初期のSNSであるMeetup.comを用いてネット上で支援者を集め、地域ごとに企画したミニ集会に動員したのだ。ここまでくると、単なる紙の置き換えではなく、インターネットの魅力を引き出したといってよいだろう。

■ディーン氏の著書の公式ブログ


出所:www.winningbackamerica.com/

ブッシュとケリーによる量的拡大

健闘むなしくディーンは民主党予備選で敗退するが、その躍進を模倣し、量的に拡大したのが、04年本選の共和党ブッシュと民主党ケリーである。充実したホームページには対立候補の批判(ネガティブキャンペーン)を織り込み、ネット献金集金にも力を尽くした。そしてブッシュは1400万ドル、ケリーは8000万ドルものネット献金を集めたという。

また、両陣営ともディーンのようなミートアップ集会を盛んに開催し、ブッシュは04年8月時点で延べ2万回以上の集会を開いたという。ただしこの時点においては、インターネットは単にたくさんある選挙ツールの一つにすぎないものであり、勝敗を大きく左右するものではなかったともいえる。

ブロガーの躍動

04年大統領選については、ブログの興隆という時代的要因もあり、一般市民がインターネットを通じて政治的な注目を浴びる現象も増えてきた。各陣営の支持者たちはテレビなど既存マスコミの情報チェックを行い、誤りを見つけるとブログに投稿し、それがブログ経由で広がっていくということもあった。

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