「大事故のアイドル」に家族がかけた意外な言葉 病室にかけつけて…「絶望」から救った言葉の力

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きっと家族は、私と会っていないときには、暗い気持ちになったり落ち込んだりすることも絶対にあったと思います。でも、私の前では一切そんな顔は見せず、いつもと同じ態度で接してくれました。

もし家族が私の目の前で落ち込んでいたり、ネガティブな発言をしたりしていたら……、私は前を向けなかったかもしれません。

家族がかけてくれた言葉は、私にとって「人生の宝物」とも言っていいほど、私に元気をくれました

私も、「もし家族の誰かに何か起こったら、全力で支えよう」と心に決めています。

5月半後に退院。「ここからが新たなスタートだ」

9月26日退院。突然の事故から5カ月半の入院生活

長かったような、あっという間だったような……。でも、やっぱり振り返ってみると長かったな。四捨五入したら半年ですから。

入院生活には、たくさんの出会いがありました。看護師さんに最後のお礼を言ったとき、涙があふれてしまいました。

同じ病棟の患者さんたちともすっかり仲良くなっていたから、お別れするのが寂しかった。すっかり「自分のお城」と化していたベッドまわりも、離れがたくて……。なんだか大切なものを失ってしまうような、そんな感覚になりました。

ファンの皆さん、メンバー、事務所の方々、友達、家族。みんなの支えがあってこそ、退院の日を迎えることができました。誰も面会に来ない日が1日もなく、病室はいつもにぎやかでした。

ここからまた新しい日々の始まりです。

「ここからが新たなスタートだ」

心に期し、思い出がたくさん詰まった景色を胸に、病室をあとにしました。

猪狩 ともか アイドルグループ「仮面女子」のメンバー

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いがり ともか / Tomoka Igari

1991年生まれ。埼玉県出身。

2018年4月、強風で倒れてきた看板の下敷きになり、緊急手術を受けたが脊髄損傷を負い、以後、下半身不随に。歩くことはもちろん、自力で立つことさえできなくなった。

絶対安静の状態からリハビリを経て、車椅子に乗りながらアイドルとして復帰を果たし、現在は、NHK Eテレ『パラマニア』にレギュラー出演するなど、アイドル以外にも活動の場を広げている。東京都「東京2020パラリンピックの成功とバリアフリー推進に向けた懇談会」メンバー。東京都より「パラ応援大使」に任命。9月23日には初めて作詞した究極の応援ソング『ファンファーレ☆』も公開された。

 

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