プログラミングで日本が挽回するカギは「教員」 STEAM教育が目指すのは「主体性」の獲得

小3がホーキング博士に興味を持ちプログラミング
2020年から小学校で必修化されたばかりのプログラミング。現場では教員の奮闘が続くが、民間レベルに目を向けると、子どもたちの技術はもはや想像を超えるほど進んでいる。
例えば、2019年に開催された「第4回全国小中学生プログラミング大会」。準グランプリを獲得したのは小学3年生の男児がつくった「会話おたすけ音声ロボット」だった。話すことも書くこともできない人向けの会話ツールで、ブロック玩具のレゴを活用したロボットハンドとパソコンの画面を組み合わせて操作するものだ。男児の技術力は称賛に値するが、その端緒が興味深い。
「制作のきっかけは、全身の筋肉が徐々に動かなくなる筋萎縮性側索硬化症(ALS)と闘い続けた英国の物理学者、スティーブン・ホーキング博士のドキュメンタリーを見たことだそうです。『僕もやってみたい』『役に立つ道具があればいいのに』と思ったときに、思うだけで終わらせず、その課題へ能動的に関わり、具体的な形にすることまでできるのが、プログラミングの大きな特徴です」
そう指摘するのは、同大会を運営したNPO法人CANVAS理事長の石戸奈々子氏。子どもたちにとってのプログラミングとは、「ツールであり、

「この『会話おたすけ音声ロボット』をつくろうとすると、さまざまな知識が必要になります。理科、算数、国語、図工の知識や表現力も求められるわけです。以前、『三角関数は何のために学ぶのか』という論争がネット上で巻き起こりましたが、テニスゲームをプログラミングした子は、ボールの軌道をつくるため自発的に三角関数を学んでいました」
STEAMとプログラミングの関係
テストでいい点を取るために取り組むのか、自分がやりたいことのために取り組むのか――。この二択であれば、どちらが面白く、熱心に取り組めるかは明白だ。当然、理解度にも差が出るし、何よりもここに「主体性」が生まれる。