破綻の「シルク・ドゥ・ソレイユ」復活への苦難 秋の再開見据えるも危機前に戻るのは数年先か
[モントリオール/杭州(中国) 16日 ロイター] - 新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威を振るう中、カナダの著名サーカス劇団シルク・ドゥ・ソレイユ・エンターテインメント・グループはわずか48時間で世界各地での興行の大半が停止、経営破綻に追い込まれた。
アクロバット、ジャグリング、火吹きなどの曲芸師やミュージシャンが繰り広げる豪華なショーによって世界的名声を得た同グループは、中国、イタリア、米国その他諸国で上演中止を余儀なくされた。
6月末にカナダで破産法の適用を申請した後、今月に債権者との間で資産購入合意を締結、合意は7月18日に同国裁判所に提出される予定だ。
「ある日突然、実質48時間でショーも収入も消えてしまう経験をするとは、これまでの人生で思ってもみなかった」。ダニエル・ラマール最高経営責任者(CEO)はロイターにこう語る。
「あの国で上演中止、この国でも中止という知らせが1時間ごとに入るのだから、本当に辛かった」
ラマール氏は、中止になった海外公演からメンバーが帰国する手助けや、1公演当たりトラック50台分の装備を保管する倉庫の確保に奔走することになった。ラマール氏は2001年、空中パフォーマンスの人材をスカウトする幹部としてシルクに入った。
コロナ前の年間収入は1000億円を超えていた
新型コロナ感染症が世界的に大流行する前、シルクは世界で44演目を回しており、年間収入は約10億ドル(約1070億円)に上った。ショーは水中パフォーマンスから、歌手のマイケル・ジャクソン、ビートルズ、サッカーのリオネル・メッシ選手をテーマとする演目まで多彩だ。
しかし公演のキャンセルに伴い、シルクは従業員の95%を恒久的、あるいは一時的に解雇するに至った。