河井夫妻「議員辞職」に安倍首相がやきもきの訳 1億5000万円の使途めぐる捜査進展はあるか
その一方で裁判が続けば、河井夫妻を重用した安倍首相や自民党執行部への国民的批判をかき立てるのは確実だ。
克行被告は首相補佐官や党総裁外交特別補佐も務めた安倍首相の側近で、菅官房長官を囲む議員グループ「向日葵(ひまわり)会」の主宰者。案里被告は、離党後も二階俊博幹事長の率いる二階派の特別会員に名を連ねている。
広がる「自民惨敗」への不安
6月の国会閉幕を受け、夏以降のコロナ収束を前提に、政界では「秋口解散・10月衆院選」説が取り沙汰されている。しかし、百日裁判で審理が順調に進めば、一審判決は選挙期間と重なる可能性が高い。その場合「有罪となれば自民党の選挙への悪影響は計り知れず、自民惨敗は避けられない」(自民長老)との不安が広がる。
秋口解散が見送られた場合でも、一審判決以降も審理が続けば、2020年10月までのどの時点で衆院選が行われても、河井夫妻の裁判が自民党への強い逆風の要因ともなりかねない。
河井夫妻が早い段階で議員辞職すれば、百日裁判の必要性はなくなる。「起訴後に当選人(案里容疑者)が辞職すれば、それ以降は百日裁判として処理する必要がなくなる」との法解釈からだ。その場合、河井夫妻が裁判で徹底抗戦を続けたとしても、「議員辞職で政治的には区切りがついたことになり、選挙への影響も限定的となる」(自民幹部)とみられる。
夫妻の起訴を受けて安倍首相は8日夜、「わが党所属だった現職の国会議員が起訴されたことは誠に残念。かつて法相に任命した者として責任を痛感し、国民に改めておわびしたい」と神妙に頭を下げた。
自民党本部が夫妻側に支給した1億5000万円の使途については「自民党において政治資金は厳格なルールの下に運用されている」と買収資金との見方を否定する一方、「党として説明責任を果たしていかねばならない」と語った。
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