「ななつ星」デザイナーが考えるコロナ後の世界 自然の力を見直し、生活空間に持ち込もう

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――鉄道のあり方も変わりますか。

住宅を仕切るという考え方は鉄道の車両でも使える。例えば、客室内に車両を仕切るパネルがあちこちから出てきて、瞬時に個室化するといった仕組みかな。電車の中を個人のオフィスにするシステムを作って、そこを予約すれば、通勤しながら仕事ができるとかね。

――最近の電車は窓を開けて走って、空気を入れ換えています。イケバスも窓を開けて走るのがコンセプトですね。

みとおか・えいじ/1947年岡山県生まれ。1972年にドーンデザイン研究所を設立。JR九州の「ななつ星 in 九州」など鉄道車両デザインを多数手がける。2010年に毎日デザイン賞、2011年に菊池寛賞を受賞(撮影:梅谷秀司)

あれは予算の都合で空調機器を載せられなかった(笑)。だから冬は窓を閉めて、夏は窓を開ける。冬はお客様が服をきているから問題ないけど、夏は窓を開けても暑いよね。「暑いからなんとかしてほしい」というお客様のわがままを受け入れるかどうかが問われるのがこれからの社会。

自然環境が変わっていく中で、国や都市に解決を求めるのではなく、個人が体力と気力と知力をステップアップしないと解決できないのではないか。

自然の力をもう一度見直そう

コロナ対策なんて、日本の住宅ではもともとできていた。木戸があって、障子があって、ふすまがあって。開けたら外ですよ。日本の住宅は広い空間を仕切りでさまざまな空間に区切ることによって、個室化できていた。

それに畳の材料のいぐさは対湿性、殺菌効果、消臭効果があるという万能の草。こういうよいものが日本には昔からたくさんあるので、自然の力をもう一度見直して、私たちの生活空間に持ち込めばいい。

――昔の時代に戻る?

そうではない。昔のやり方も入れるし、新しいやり方も入れる。昔のよい部分を生かして、最先端の技術でデザインして造っていく。電車の窓でいえば、今でも手で開けていて大変だけど、ボタンを押したら自動的に開くようにすればいい。

乗用車なんて、ずいぶん前から窓の開閉は自動ですよ。いちばん進んでいる乗り物は乗用車。その技術を電車に持ち込めばいい。窓だけでなく、いすもそう。自動車のシートはいちばん進んでいる。座り心地をよく研究しているし、大量に造られるからコストも安い。それに比べたら電車のいすなんてたかが知れている。

「週刊東洋経済プラス」のインタビュー拡大版では「電車通勤のスタイルはどう変わるか」「列車の旅のあり方」のほか、アフターコロナ時代におけるオフィスや衣服について、イラストをもとに話をしています。
大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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