JALを“公的整理”する是非、異例ずくめの延命措置
政府、銀行など関係者の思惑が錯綜し、二転三転した日本航空(JAL)の再建問題。最終的に法的整理というハードランディングへ舵が切られることになった。
同社が会社更生法の適用を申請し、19日にも企業再生支援機構(機構)が支援決定を行う見通しだ。法的整理との報道を受けて、相場は売りが殺到し、JALの株価は13日には2日連続のストップ安で7円まで急落した。
更正法で再建を図る場合、現経営陣は原則退任となる。このため、13日に政府は京セラの稲盛和夫名誉会長へ新CEO(最高経営責任者)の就任を正式に要請し、稲盛氏も受諾した。一方、支援の決定を表明していない機構も、「検討の状況について」と題し、商取引債権や航空機リースは従来どおりの支払いが行われることなど、再建スキームの一端を発表。信用不安の打ち消しというよりも、実質的な支援表明だった。
私的整理が収束した理由
「法的整理ならば(私的整理で行う)債務整理のほかに八つに分断した組合問題にもメスが入るだろう」と、抜本的改革は有効とする関係者もいる。だが、前原誠司国交相の直轄で昨年10月に再建案を練った再生タスクフォースのメンバーは「法的整理は難しい。海外取引との現金決済で逆に巨額資金が必要となる」と、あくまで私的整理での再建可能性を追求していた。
国交相は「(JAL機を)飛ばしながら再生を着実に行う」とするが、不測の事態を完全に排除できるかは不透明だ。
昨年10月に発足した機構は、政府保証がつく1・6兆円の公的資金枠を持つ。JAL支援となれば、つなぎ融資や財務強化のための資本注入で、資金枠の半分以上を同社へ振り向ける可能性が高い。