イギリスのオックスフォード大学が今年4月に発表した接触確認アプリの効果に関する研究によれば、「人口の約60%が接触確認アプリを使用すれば、局地的な流行を抑えられる」としつつ、「使用者がそれより少なくても、症例数(感染者数)と死亡者数は減少すると推定している」という。
坂下氏は、「このアプリだけでウイルスを退治できるわけではないが、(感染防止の)一部分を担うのは確か。例えば携帯キャリアがショートメッセージで告知したり、LINEが案内メッセージを送ったりなど、多面的にアプリが広報されることを期待したい」と話す。
海外での活用にも期待
廣瀬氏らは今回開発したアプリの国際化の対応を進めている。「今後も業務外の時間を使って、他国で(オープンソースのコードを使って)開発してもらうような働きかけをしていきたい」と同氏は話す。
翻訳の協力者の取り組みによって、現在は60近い言語への翻訳が進んでいるという。「日本に住んでいるのは、日本語話者だけではない。厚労省のアプリはリリース当初から英語や中国語(簡体字)にも対応した。さらに南米やアフリカなど感染爆発が起こり始めた国もある。そうした国でもコードはそのまま使えるようにしている。直近ではオーストラリアの開発チームから参考にしたいといわれている」(廣瀬氏)。
1人のエンジニアから始まった活動は、国全体を動かした。感染症対策に限らず、行政などあらゆる場面で官民連携によるテクノロジーの活用やオープンソースのソフトウェアの価値が見直されそうだ。
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