2輪の名車「BMW R50S」で味わった驚きの事件 なぜかアイドリングが乱れるなと思っていたら
僕がBMW R50Sに乗り替えたのはボンネビルに飽きたからではない。断じて……。ボンネビルは2年経っても、乗る度に僕をハッピーにさせてくれていた。
「なら、なぜ!?」……。それに、BMWアールズフォーク・モデルなら、だれもがR69Sに乗りたいと思うのが普通だろう。
僕ももちろんR69Sには憧れていた。いつかは乗りたいと思っていた。
でも、生産台数も多かったし、あまり苦労しなくても手に入りそうだったので、すぐに……と急かされる理由はなかった。
ところが、湘南ツーリングに出かけたある日、江ノ島に近いパーキングエリアで知り合った人とのお付き合いの流れで、急にBMWに接する機会が増えた。
その人はR69Sに乗っていた。憧れの……。
一緒にツーリングに行くようなことはなかったが、たまたま家が近くだったこともあり、時々会い、話すようになった。
BMWバイク専門のショップへ誘われて
その人は R69Sのメインテナンスを、ディーラーではなく、クラシックBMWバイク専門のショップに任せていた。その人曰く、「最高のBMWスペシャリストがいるんです! だから安心してお任せです!」と。
そして、あるとき、「1度、ショップ見に行きませんか?」と誘われた。ショップはわれわれの住む都立大学の近くだったし、断る理由などあろうはずはない。
清潔で落ち着いた佇まいのショップは、閑静な住宅地にあった。ショップの前には1台もバイクは置かれておらず、背の高い引き戸が閉められていたら、誰もバイクショップとは気づかない……そんな雰囲気だった。
奥行きがあり天井が高い店内の空間は心地よいもので、清潔さがそんな印象をさらに強めていた。
ショップのオーナーに紹介されたが、オーナーは「よろしく! ごゆっくり!」と軽く会釈をしてくれただけで、すぐ整備していたR69Sの元へ戻った。
「彼に任せておけばなんの心配もありません。ありがたいことです!」。知人が全幅の信頼をおいていることはよくわかった。
在庫車はR69Sが多かったが、めったには見られないR25やR26もあった。みんなきれいで、コンディションはよさそうだった。
知人が「なにかオススメはありますか?」とオーナーに尋ねると、「ええ、来週、R50Sが入庫する予定です」との返事。
「ええっ、R50Sですか!?」と僕。BMWバイクの知識はほとんどなくても、R50Sが名車の誉れ高いことくらいは知っていた。なぜ名車なのかは知らなかったが。
「直接見ていないので明言はできませんが、コンディションはいいと聞いています」。