朝より「帰宅ラッシュ」が不安になる決定的理由 密接を招きかねない要因が電車内に存在する
緊急事態宣言の発令前から観光需要も一気に減ったが、解除後にある程度の利用者の戻りが期待できる通勤・ビジネス輸送とは違い、感染リスクを考えれば、わざわざ列車に乗って観光に向かう需要は、回復に相当な時間を要する。少なくとも現状では、外出を促すようなプロモーションは批判の種となる。
先日、用件があって伊豆方面に向かう特急「踊り子」に乗ってみたが、1両に数人しか乗客が居なかった。緊急事態宣言解除後も「踊り子」の減便が続くが、当然の判断だろう。
最も回復が厳しい訪日外国人客
観光需要のなかでは、訪日外国人客の需要が壊滅的に減った。とはいえ、実のところ、日本の観光需要に占める訪日外国人の割合はそれほど大きくない。加えて「コロナ疲れ」の状況で、緊急事態宣言を解除していないのに江ノ島や湘南に人が集まるくらい、内なる外出の需要は大きい。
海外向けの需要減を嘆くより、近場の「身近なお出かけ」に精を出すのが手っ取り早く、3密や接触感染の回避を大前提として日本人が好きな「安心・安全」をベースとしつつ、地元沿線の外出で日常の疲れを癒やすような、昔から長らくある手法を忠実に実行するのが是となろう。
ただ、訪日需要を取り込んで利用を増やしていた空港アクセス列車への影響が大きく、成田空港アクセスでは特急「成田エクスプレス」と京成の「スカイライナー」、中部国際空港アクセスでは名鉄(名古屋鉄道)の「ミュースカイ」、関西空港アクセスでは南海の「ラピート」と特急「はるか」の各列車で日中を中心に減便が行われた。筆者が3月に新型のはるかに乗ったときは、新車の3両に乗っている客が私しかいなかったが、これでは商売にならない。
成田エクスプレスの車両は需要に対して造りすぎてしまった感がある。つい先日までは富士山麓の富士急行線に乗り入れたり、「マリンエクスプレス踊り子」として伊豆方面で使っていたりしていた。需要が追いついたと思ったら、今度は新型コロナウイルスで、また転用を考えねばなるまい。
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