「子持ち離婚」で損する人が多いのはなぜなのか 離婚検討段階から将来設計をする重要性

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この場合、家の価格を想定年収の6倍である3000万円としても、5倍である2500万円としても、毎月赤字になります。母親の年金収入を加えれば収支自体はプラスになるのですが、母親の生活費を考慮すると結局赤字になってしまうわけです。

解決策は、夫から養育費を受け取ること。月3万円、年間36万円の養育費を受け取ることができれば、住宅ローンの支払いも、子どもの進学資金の準備も問題ありません。唯一の心配は老後資金が足りないことですが、もともと夫婦子ども1人でも老後資金は足りませんでした。従って、Bさんとお子さんが安心して生活するためには養育費が必要になるのです。

養育費を受け取る権利が法的に保障される重要性

筆者は、子どもがいる場合は離婚する前に生活が回るかどうか確認してほしいと考えています。なぜかというと、お金が足りないことによるストレスが子どもに影響する可能性が高いからです。一方、お金の準備がしっかりとできているならば、夫婦でい続けることのストレスや家庭内不和、暴力、お金を入れないという金銭的暴力などから、速やかに逃げることも可能になります。

どういう制度や方法を準備すれば、自分と子どもが安心して生活できるかを考えることは大切です。今まで夫婦間のマウンティングや精神的虐待など、どちらともなく無意識にやってしまう家庭をいくつも見てきました。自分の人生を自分らしく生きるためにも、子どもの大切な命や人格を守るためにも、いろいろなケースを踏まえた人生設計を考えてください。

今後は、養育費を受け取る権利が法的に保障されることで、途中で支払われなくなるような事態を防ぐことができるようになりそうです。そうなれば、今まで子育てについて他人事であった男性側の意識も変わってくるでしょう。

実際に、兵庫県明石市では、養育費に関する取り決めを公的な書面で実施した場合、養育費が支払われなくなった家庭に自治体が立て替え払いするという制度が存在します。自治体の予算で行うため人数枠が限られているのですが、離婚検討中の子育て世帯には心強い取り組みです。東京都も同様の取り組みを実施すべく予算計上しています。

今後は、国として子育て世帯を守る法整備とスムーズに書面で養育費を取り決めできるような支援が求められます。このような制度が整ってはじめて、子育てしやすい環境といえるのではないでしょうか。

高橋 成壽 ファイナンシャルプランナー

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たかはし なるひさ / Naruhisa Takahashi

寿FPコンサルティング株式会社代表取締役。慶應義塾大学総合政策学部を卒業後、金融系のキャリアを経てFPとして独立。お金を増やす、お金を守るという視点でFPサービスを提供。30代40代の財産形成、50代60代の資産運用、70代以降の相続対策まで幅広い世代に頼られている。「ライフプランの窓口」を企画運営。著者に『ダンナの遺産を子どもに相続させないで』(廣済堂出版)がある。日本FP協会認定CFP。

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