iPadがパソコンに変身「磁石で付くキーボード」 iPad Pro用「Magic Keyboard」最速レビュー

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Magic KeyboardをiPad Proに装着して横から見たところ(筆者撮影)

iPadをモバイルコンピュータの代わりとして使おうとすると、必ずキーボードとマウスの問題にぶつかる。これはわれわれが、Macintosh登場の1984年以降、キーボードとマウスによってコンピュータを操作するという概念の中で生きており、2010年に登場したiPadは、それを崩そうとしてきた。すなわちマルチタッチスクリーンを通じて指で操作する板状のコンピュータ、という新しい概念を定義してきた。

iPadによるコンピューティングの再定義は、世代によってはうまくいっている。しかしSmart Keyboard以来、iPad向けのキーボードをアップルがリリースし、最終的に今回のiPad Pro用Magic Keyboardを登場させたことは、iPadの理想がマーケティング上の課題に打ち勝てていないことの現れだ。

簡単に言えば、iPadをコンピュータとしてPCのリプレイス需要に合わせるには、マウスとキーボードが必要で、これらをスマートに実現するためのアクセサリーとして、Magic Keyboardが登場した、ということだ。そして、このアクセサリー自体は非常にうまく実装したと評価できる。

磁石で装着でき、Bluetoothのペアリングや接続の不具合に悩まされることなくiPadと直結してすぐにマウスとキーボードを使うことができるこのアクセサリーは、デスクにおけるiPad Proの居場所を確保し、PCからのスムーズな移行を促す役割を十分に果たしていくだろう。

新たな課題とは?

ただし課題も増えた。特に「価格」「重量」「バッテリー持続時間」は、新たな課題だ。

11インチモデルで3万1800円、12.9インチモデルで37800円に設定された価格は決して安いものではない。例えばPFUが発売する高級キーボード「HHKB」の最新版も3万円前後の価格設定がなされているが、Magic KeyboardがHHKBほどのプレミアム感あるキーボードかと言われるとそうではないのだ。

またモバイル対応では課題がある。Magic Keyboardはデスクでは最高のアクセサリーだが、持ち出そうとするとiPad Proの倍以上の重量となり、バックライト搭載、トラックパッド内蔵ということもあって、通常のテキスト作業では、ほぼ1時間で10%の消費だったものが、3〜5割早く消費していくイメージで、バッテリー消費は思いのほか早くなる。

Magic Keyboard自体に補助バッテリーを内蔵することも手かもしれないが、それではさらに重量と価格が増してしまう。結果的に筆者は、今まで使っていたSmart Keyboard Folioと併用することになりそうだ。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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