アップルの新iPhone SEが格安だと言えるワケ 最新の性能を詰め込んだ「最も小さなiPhone」
iPhone SEを一言で言えば、「iPhone 11の性能や体験を、iPhone 8のボディに詰め込んだスマートフォン」だ。最新のiPhone体験が手に入る製品を、4割引きで提供する製品だと言えば、アップルがiPhone SEをどれだけ安く設定したかがわかる。
ハードウェアのデザインとしては、2世代前、2017年に発売されたiPhone 8とまったく同じだ。4.7インチのディスプレイ、指紋認証のTouch IDを搭載するホームボタン、ワイヤレス充電など、共通仕様となっている。しかもケースまで共通化されており、おそらく違いを見つけるほうが難しいかもしれない。カラーバリエーションはホワイト、ブラック、そしてPRODUCT(RED)が用意される。
デザイン上の変更点を見つけるとすれば、背面だ。これまでのiPhone 8にはアップルロゴと「iPhone」の文字が入っていたが、iPhone SEからはiPhoneの文字が取り除かれ、ロゴのみになった。またiPhone 8に採用されていた画面を押し込んで操作する3D Touchは廃止され、iPhone 11シリーズと同じ、感触タッチへ変更されている。
またiPhone SE第2世代には、2019年のiPhone 11シリーズに搭載された最新のA13 Bionicチップがそのまま搭載される。処理性能は第1世代に比べて2.4倍、グラフィックス性能は4倍に向上する。8コアのニューラルエンジンも内蔵されているため、ARや機械学習処理にも性能を発揮する。
通信機能も、5Gには対応しないが、ギガビットLTEやWi-Fi 6、eSIMとあわせたデュアルSIMなど、iPhone 11を踏襲する。ただし、iPhone 11シリーズに搭載された正確な方向と距離の測定に利用できるU1チップには対応しない。
第1世代のiPhone SEは、2世代前のiPhone 5sのハードウェアを用いて、当時最も高性能なチップを採用して3年販売してきた。第2世代のiPhone SEは、4年前の第1世代を驚くほど踏襲する形で作られた製品であることがわかる。
iPhone SEが狙うターゲットは?
iPhone SEが狙うターゲットは、主に2つあると考えられる。1つは、できるだけ小さなiPhoneを使いたいというユーザー。例えば4インチのiPhone SE第1世代や、4.7インチのiPhone 6s、iPhone 7のユーザーは、最新の機能は欲しいが画面拡大を好まない人たちだ。
またAndroidからの乗り換え需要も狙う。4万4800円からという価格設定は、携帯電話会社の割引が得られれば、2万円台での購入も視野に入る。この価格なら、最新のミドルレンジAndroidスマートフォンとも競合する。
最も安い価格に設定されたiPhone SEだが、今回は単に上位モデルの機能を限定的に搭載しただけではなかった。カメラについては、まったく新しい実装を試みていたのである。
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