コロナでもサムスン、LG電子が営業増益の理由 半導体と家電好調でも、恐れるべきは4~6月

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2019年10~12月期に平均1ドル1175.8ウォン(約105.3円)だった為替レートも、2020年1~3月期は1193.6ウォン(約107.16円)と2円ほどウォン安となったことも、営業増益によい影響を与えた。

2020年1~3月期は、新型コロナウイルス拡散による需要不振が中国1国に限定されていたため、スマートフォンとテレビ、家電などの販売に大きな影響を与えなかったことも、市場の期待値を上回ったようだ。

LG電子決算もサプライズだったが…

LG電子は4月7日、2020年1~3月期の売上高を14兆7287億ウォン(約1兆3200億円)、営業利益は1兆0904億ウォン(約980億円)と発表した。営業利益が1兆ウォン台を上回ったのは、1兆1078億ウォン(約1000億円)となった2018年1~3月期以来で、史上3番目の高水準となった。アナリスト予想の8700億ウォン(約780億円)を大きく上回り、サプライズ決算となった。

電子業界関係者は「新型コロナウイルスで健康や衛生面への関心が高まり、乾燥機や食器洗浄機などの衛生関連家電の販売が増え、また高付加価値テレビの販売も好調だった」と言う。

問題は4~6月期だ。新型コロナウイルスが直接的な影響を与えるのは確実で、両社ともに売上高と営業利益の相当部分が減少しそうだ。業界関係者は「2020年3月からヨーロッパやインド、中南米など世界各地の主要生産工場が稼働を中断しており、欧米の流通網もすべてストップしている。そのため、1~3月期決算だけで通期の好業績を夢見ることはできない」と打ち明ける。

ただ、サムスン電子にとっては半導体市場の改善が続いており、4~6月期には同社の半導体事業がIT・モバイル事業と消費者家電の業績悪化を上回るとの分析もある。韓国・ハイ投資証券のソン・ミョンソプ研究員は「半導体価格が1~3月期時点より大きく値上がりしているため、4~6月期には半導体などのデバイスソリューション事業の営業利益が1~3月期の4兆1000億ウォン(約3700億円)よりも2兆ウォン(約1800億円)以上増え、全体として4~6月期の売上高・営業利益が1~3月期と同水準か、小幅上昇する可能性もある」と言う。(韓国『ソウル新聞』2020年4月7日)

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