今、少人数の「家族葬」がじわり増えている理由 非常事態下、改めて見直される葬儀の価値

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オーダーメード型のオリジナルプランを開始したのは2016年11月。商品内容の理解が進まず、初受注までに時間がかかったが、その後は順調に拡大。受注件数に占める割合は約2割にまで高まった。

前々から準備できる結婚式と違い、予測できない葬儀には時間的制約がある。オリジナルプランでは、遺族から要望を聞き、短時間で実現する企画力がものをいう。同社では過去の葬儀事例を蓄積し共有化。類似の事例を参照することによって、適切なプランを素早く提案することが可能になっている。ノウハウを積み重ねることで、施行に費やす人員も効率化されてきた。

価格は従来型のセットプラン40万~80万円程度に対し、オリジナルプランは110万~150万円程度(人数で変動する返礼品・料理を除く)。後者が増えれば平均単価の押し上げにつながるが、あくまで「家族の要望に応え満足いただける葬儀を追求していきたい」(同)。

直営会館の空白エリアではM&Aも駆使

拠点は北海道と千葉県、神奈川県、愛知県、京都府、宮崎県、熊本県で直営会館を展開(2020年5月期末81会館見込み)。当面は年8店程度の出店を続けるが、直営会館の空白地域ではM&Aを活用する意向だ。

「地元の葬儀社を買収し、成長していきたい」と意気込む、きずなホールディングスの中道康彰社長(撮影:梅谷秀司)

「橋頭堡として、会館数の多くない地元葬儀社を買収、理念を共有し、ともに成長していきたい」と中道社長は息巻く。オーダーメード家族葬を武器に、直営での全国展開を目指している。

現在、新型コロナウイルスの流行によって、感染予防から、参列者を絞り込んで葬儀を営む傾向が強まっている。親族だけといっても、配偶者や子のみで執り行うなど、さらに規模を縮小するケースさえある。

事態の収束後も葬儀のあり方を見つめ直す動きが続く可能性はあるだろう。家族葬を手掛ける葬儀社には、質の高さがより一層求められている。

三上 直行 東洋経済 記者

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みかみ なおゆき / Naoyuki Mikami

1989年東洋経済新報社入社。これまで電機などを担当。現在は、冠婚葬祭業界を担当。

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