濡れ衣でリンチ殺人招いたSNSフェイクの恐怖 「自分ではない自分」がネット上に創られる
最新のテクノロジーによって映像のフェイクが作られるようになり、一見、自分とまったく見分けがつかない「偽りの自分」がネット上に出現する事態になっています。
取材班は、その被害にあったオーストラリアのノエル・マーティンさん(25歳)に話を聞きました。始まりは、ノエルさんが法学部の学生だったときのこと。グーグルの画像検索システムで、自分の写真を何気なく検索したところ、身に覚えのない自分の裸の写真がポルノサイトに出回っているのを偶然見つけたのです。
悪用されたのは、SNSで公開されていた写真でした。友人との旅行や食事、家族と撮影した写真、地元のバーで開かれたイベントに参加したときの写真など、何気なく投稿した日常の写真がポルノ女優の体とすげ替えられていたのです。初めてフェイクポルノを見つけたとき、すでにネット上のさまざまなポルノサイトに拡散してしまっている状態だったというノエルさん。
拡散しているフェイクポルノには、本物の写真も一緒に投稿され、自分の名前や住所、学歴などの個人情報が添えられているものもありました。フェイスブックに公開されていた情報が悪用され、ノエルさん自身が投稿しているように見せかけていたのです。

「ショックでした。何が起こっているかわからなくて。胃がきりきりと痛み、吐き気がして……とにかく怖かったわ。私の容姿についてのコメントや私に何をしたいかなども書かれていました。ネットで広まっている私は私ではないわ。私は『本当の私』を取り戻したいだけなの……」
誰がやったのか心当たりもなく、ノエルさんは弁護士や警察などに相談。ポルノサイトの運営者などにも削除を求めましたが拡散が止まることはありませんでした。
そこで、ノエルさんは意を決して被害をメディアの前で公表することにしたのです。
「偽りの自分」だけが信じられていく恐怖
しかし、この告白をきっかけに、事態は悪化します。SNSでノエルさんの告白を疑ったり、揶揄したりする投稿が拡散し、炎上する事態に発展したのです。
「お金が目的で、キミが自分でアップしたんじゃないの?」
「注目を浴びたいだけじゃないか?」
「太った醜い猫め!」
偽りの自分だと伝えれば伝えるほど、フェイクの自分が信じられていく。支えてくれたのは仲のいい友人だけだったといいます。
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